インターネットの普及によって、海外の取引先とのビジネスは格段に身近になりました。
日本でも、事業規模の大小を問わず、国外への販路拡大は多くの企業にとって重要な経営戦略となりつつあります。
一方で、国外に商品を輸出するには、国内とは違った様々な手順や手続きがあり、海外進出においては輸出取引の基本的な流れをおさえておかなければ、いざ海外の顧客との契約や受注が決まった際に、リスクやトラブルを抱えてしまうことにもなりかねません。
この記事では、輸出者の貿易実務について、具体的な取引の流れに沿って必要な手続きを解説します。
必要となる貿易書類、海外輸送の手配を代行するフォワーダーを選ぶポイントなど貿易をなるべく簡単に始められる実務を紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
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INDEX
1.取引先と契約する
まずは顧客と交渉し、契約書を交わすところから始まります。
輸出者は交渉の内容をもとに見積書を発行し、輸入者が合意すれば契約成立です。契約書を2部作成し、署名・捺印したものを双方で1部ずつ保管します。
見積りの内容は商品の価格や数量、納期、支払い条件などです。
ここの流れは基本的には国内取引とあまり変わりませんが、貿易での注意点が2つあります。
書類は英語で作成する
外国の顧客との取引は、書類はすべて英語で記載する必要があります。
もちろん、先方から送られてくる書類も英語表記が一般的です。
顧客によっては英語以外の言語が使われるケースもありますが、日本語でのやり取りはまずないと思っておいた方がよいでしょう。
インコタームズを取り決める
見積りの段階でのインコタームズの取り決めは、貿易では欠かせません。
インコタームズとは、輸送の過程でかかる費用や商品が事故やトラブルで破損したときの損害リスクなどについて、どちらが責任を持つのかを明確にするための国際ルールです。
こういったコストやリスクの負担について考え方が国によって異なるケースが多いため、国際基準に則った事前の取り決めが必須となるのです。
2.信用状を確認する(L/C決済の場合)
支払い条件にL/C決済(Letter of Credit、信用状決済。代金の支払いに銀行を挟むことで双方のリスクを軽減する決済方法)を選択した場合、輸出者は銀行から信用状を受け取ります。
信用状は、基本的に輸入者が指定した銀行から送られてきます。
締結された契約内容との違いがないか、よく確認するようにしましょう。
この内容に齟齬があると、不払いなど重要なトラブルにつながりかねないので、入念なチェックが必要です。
3.フォワーダーを選定、依頼する
貿易実務に特有の手続きに、船会社への輸送依頼と税関手続きが挙げられます。
どちらも自社で進められたら理想的ですが、手続きがとても複雑で、専門的な知識のある人材がいない限り現実的とはいえません。
こういった専門的な業務には「フォワーダー」と呼ばれる業者に依頼するのが一般的です。
フォワーダーは貿易のエキスパートといえる存在です。
フォワーダー自身は運送手段を持ちませんが、輸出者に代わってさまざまな手配や輸送業務を仲介してスムーズな国際輸送をサポートします。
輸出者と輸入者をつなぐ仲介役といってもいいでしょう。
フォワーダーに依頼することによって、船会社への輸送依頼や税関手続きだけでなく、貨物の梱包・船積・保険の付与など輸送に伴う業務を代行してもらうことができます。
フォワーダーの選定ポイント
数多くのフォワーダーから信頼できる業者を選ぶのにはある程度の慣れが必要です。
まずは輸送業務をスムーズかつ安全に進めるために「現地法人、海外代理店の存在」と「海外拠点での日本人スタッフの在籍」を確認しましょう。
フォワーダーによっては、特定の輸送手段(航空、船舶など)や、輸送先の国や地域に特化したサービスを展開していることもあります。
こういった点も選定ポイントに取り入れるようにすれば、より利益率の高い取引につながりやすいです。
4.貿易書類を用意する
フォワーダーに業務を依頼する上で、輸出者側で用意する貿易書類がいくつかあります。
代表的な貿易書類に次のようなものが挙げられます。
コマーシャルインボイス(Commercial Invoice)
「商業送り状」と訳される貿易書類で、税関手続きで必要になります。
輸送する商品に関して、主に下記の情報が記載されます。
- 商品明細(個数・単価・合計額等)
- 決済条件
- 貿易条件(インコタームズ)
- 輸出者/輸入者の情報
- 貨物の送り元/送り先
海外へ商品を送る場合、必ず輸出者が作成するコマーシャルインボイスは、基本中の基本ともいえる貿易書類です。
税関手続きだけでなく、輸出者と輸入者の間では明細書、請求書、納品書の3つの役割を兼ねる重要な書類として扱われます。
パッキングリスト(Packing List)
「梱包明細」と訳される貿易書類で、こちらも税関手続きで提出を求められます。
記載内容はコマーシャルインボイスとほぼ同じですが、荷物に関してより詳細な情報が記載されるのが特徴です。
具体的には荷物の重量(「ネットウェイト=梱包抜きの正味重量」と「グロスウェイト=梱包込みの重量」)、荷姿、個数、容積などといった情報が必要になります。
パッキングリストに記載される情報は、必ず税関に提出しますが、貨物の量が少ない場合などはコマーシャルインボイスに記載してパッキングリストはつくられないこともあります。
シッピングインストラクション(Shipping Instruction)
「船積依頼書」と訳される貿易書類です。
主にフォワーダーと船会社との間でやり取りされる書類です。
シッピングインストラクションに記載する情報は、主に下記のような内容です。
- 輸出者、輸入者の情報
- 船の名前
- CUT日(貨物を船に乗せられる最終日)
- FTD(出荷予定日)
- 輸出国、輸入国の港の名前
- 船賃の決済方法
シッピングインストラクションは船会社が船荷証券(船会社が貨物を受け取ったことを証明する書類。略称はB/L)を発行するために必要となる貿易書類です。
5.船荷証券(B/L)を入手する
船荷証券(Bill of Lading、B/L)は船会社によって発行されたのち、フォワーダーを経て輸出者に届けられます。
船荷証券は「船積書類」と呼ばれる書類の一種で、輸送者から輸入者へ、商品を引き渡す際に必要となるものです。
またL/C決済の場合、輸出者が代金を回収するために銀行に提出する重要な書類でもあります。
船積書類には他にも、コマーシャルインボイスや保険証券が含まれます。
国や条件によっては、カスタムズインボイスや原産地証明書などの書類が含まれることもあります。
6.決済、買取手続きを行う(L/C決済の場合)
決済方法には前払い、後払い、L/C決済など様々なものがあります。
この中で、L/C決済を採用した場合のみ、少々複雑な手順が必要になります。
まず、輸出者は信用状の記載にしたがって貿易書類(船荷証券、コマーシャルインボイス、パッキングリストなど)と為替手形を整え、銀行に提出します。
その上で、買取依頼書を作成し、銀行に買取をもとめます。
銀行が信用状と提出書類の内容一致を確認したのち、代金が支払われます。
最後に、輸入者が商品を受け取ったことを確認して、一連の輸出業務は完了となります。
まとめ
以上が、輸出における貿易実務の具体的な流れとなります。
もちろんこれは一例であり、すべての取引がこのように進むわけではありません。
輸出先の国や輸出する商品、貿易条件や決済方法など条件によって、ワークフローは異なってきます。
まずは自社のビジネスモデルにあったフォワーダーを見つけることから始めましょう。
貿易実務の9割以上はフォワーダーが行うといっても過言ではないので、信頼できるフォワーダーの選定は非常に重要です。
加えて、輸出者としては貿易書類や顧客情報を効率的に管理できる業務環境づくりが重要となります。
貿易においては、今回紹介したようなコマーシャルインボイスやパッキングリストをはじめとして、日本の商習慣とは役割や記載方法の異なる書類が頻出します。
また、インコタームズの条件や輸出先の関税率といった条件によって、同じ商品でも異なる価格設定を適用しなくてはなりません。
こういった煩雑な業務をすべて手作業、手入力でこなしていると、どうしてもミスやトラブルが発生しやすくなってしまいます。
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