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事業や販路の拡大のため海外からの受注を増やしたいとお考えのメーカーや卸売の企業様も、多いのではないでしょうか?
海外との取引、輸出では、オンライン受注でもインコタームズへの準拠が必要となります。どの国からの注文でも適切に対応できるよう、事前の準備が求められます。
この記事では、オンライン受注におけるインコタームズについて解説します。
オンライン受注でもインコタームズへの準拠が必要な理由、どのようなインコタームズが選ばれやすいかに加えて、海外からのオンライン受注や海外発送でトラブルのリスクを下げられるポイントも解説します。
海外からのオンライン受注を始める企業様、輸出取引を効率化したい担当者様は、ぜひお読みください。
インコタームズについては、インコタームズとは?2020の簡単な覚え方、貿易条件を決めるポイント【図解あり】で解説しています。あわせてご参照ください。
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INDEX
海外からのオンライン受注にインコタームズ準拠が必要な3つの理由と背景
インコタームズ(Incoterms=International Commercial Terms)は、貿易の過程で発生する「コスト(費用)」と「リスク(危険)」を輸出側、輸入側でどちらが、どこまで負担するのかを明確にするために用いられる世界共通の貿易ルールです。
国ごとの商習慣の違いから生じる誤解やトラブルを防ぐため、国際商業会議所が定めました。
法的な拘束力はないため、販売事業者は必ずしも従う義務はありません。しかし、国際標準となっているインコタームズに準拠しない貿易は、さまざまな不利益をこうむるおそれがあります。
海外からオンラインで受注し輸出する事業者も例外ではなく、インコタームズへの準拠を要します。その理由と背景を、3つに分けて解説します。
海外からの受注体制を整え、海外進出を実現したい
少子高齢化と人口減少が進む日本では、国内向けの事業展開のみでは収益が伸び悩みやすく、さらなる規模の拡大には、海外への販路拡大は当然の選択肢となります。
世界人口は日本と異なり、増加を続けています。市場が成長段階にある国や地域からの需要を獲得できれば、ビジネスチャンスとなるでしょう。
海外の顧客がオンラインで発注できれば、時差や場所にとらわれない販売チャネルとなり、販売機会を逃しません。そのためには、リアルでの取引同様にオンラインでも、インコタームズに準拠した条件でスムーズに受注、輸出の業務ができる受注体制が求められます。
トラブルなく商品を輸出し、自社の信頼性を高めたい
海外では日本のように、荷物が予定通りに届く国ばかりではありません。輸送の途中で、荷物の紛失や破損が起こる場合もあります。
保険をかけていれば、再度の発送も行いやすくなるでしょう。また、発注者と受注者でコストやリスクを負担する範囲を明確に定めていれば、トラブルを軽減できます。通関手続きも円滑に進められるでしょう。
インコタームズに準拠して取引することで、荷物の輸送でトラブルを起こさずに海外の顧客へ商品を届けやすくなります。無事の取引完了は自社の信頼を高め、良好な取引の継続につながるでしょう。
「発注者は国内だが、発送先は海外」というケースにも対応したい
オンライン受注では、「発注者は国内だが、発送先は海外」というケースもあります。この場合も、インコタームズへの準拠が推奨されます。なぜなら海外への発送には、以下のような負担や責任の所在を取り決めておく必要があるからです。
- 関税や相手国への輸送費、また相手国内の輸送費を誰が負担するか
- 日本および相手国の通関手続きを誰の責任で行うか
- 保険料を負担するか、また誰が負担するか
日本国内だけに顧客をもつ企業でも、インコタームズへの対応が必要になる取引があることに注意が必要です。
インコタームズが必要ないオンライン受注にするには?
国内向けのオンライン受注では、インコタームズへの対応は原則として必要ありません。
国内から注文を受け、かつ発送先も国内の受注は貿易に関する業務は発生しないからです。梱包した商品を物流業者に渡し、配送してもらえば顧客のもとへ届きます。
しかし、上述のように「国内で受注したが、発送先は海外となる取引」では、インコタームズに準拠した取引になります。この対応を行わないオンライン受注にするなら、あらかじめ「発送先は日本国内に限る」という但し書きを設け、注文画面で明示する必要があります。
海外からのオンライン受注で選ばれやすいインコタームズの種類とは?

現在、インコタームズ2020が最新版として活用されおり、11種類の条件が設定されています。
このうち海外からオンラインで受注する事業者が選びやすいインコタームズの条件は5つあります。それぞれの内容を確認していきましょう。
FOB(本船渡し)

FOB(Free on Board/本船渡し)は、海外への輸送でよく用いられるインコタームズの条件の一つです。費用と危険の負担は船に積み込んだ時点を境界として、以下のように分かれます。
| FOB | 主な費用と危険の負担 |
|---|---|
| 売主 |
|
| 買主 |
|
例えば、輸出港までの運送中に荷物が破損した場合は、売主の負担で対応します。一方で、航海中の破損や紛失には、買主がリスクを負う必要があります。
費用と危険負担が切り替わるポイントが同じであるため、わかりやすいことはメリットに挙げられます。FOBは海上輸送のみ適用されます。
FCA(運送人渡し)

代表的なインコタームズのFOBは、以下の方法による輸送には適していません。
- 航空機など、船舶以外の輸送手段
- コンテナを用いる海上輸送
コンテナ輸送や航空機での輸送では、FCA(Free Carrier/運送人渡し)が用いられています。費用と危険の負担は海外への運送人に引き渡す時点を境界として、以下のように分かれます。
| FCA | 主な費用と危険の負担 |
|---|---|
| 売主 |
|
| 買主 |
|
FOBとは、輸出業者のコンテナヤードにおけるリスク管理をどちらが行うかという点に違いがあります。FOBでは売主の負担ですが、FCAでは買主の負担となります。
FOBとFCAの内容をさらに知りたい方は、インコタームズのFOB、FCA、FAS、CIFの違い 海上輸送の貿易条件【図解あり】をご参照ください。
CIF(運賃保険料込み)

CIF(Cost, Insurance and Freight/運賃保険料込み)も、FOBと並んでよく選ばれる条件の一つです。FOBに加えて、売主は以下の費用を負担します。
- 海上輸送費
- 海上輸送における保険料
危険負担が切り替わる場面、および船舶での輸送にのみ適用される点は、FOBと同様です。売主の負担は増しますが、そのぶんをあらかじめ価格に転嫁しておくことは可能です。
売主が日常的にCIFを利用している場合は、手続きに慣れているためスムーズに行えるでしょう。海上輸送に不慣れな買主が手続きを行うよりも、結果的に安くて安心を得られるケースも少なくありません。
CIP(輸送費保険料込み)

CIFは、航空機やコンテナ船を用いる輸送には適していません。
この場合は、CIP(Carriage and Insurance Paid to/輸送費保険料込み)を活用できます。
CIPではFCAに加えて、売主は買主が指定した場所(指定仕向地)までの運賃および保険料を負担します。なお関税は、買主の負担です。
あらかじめ運賃および保険料を含めた金額で取引を進めることは可能です。売主がCIPでの手続きに慣れている場合は、買主が海外輸送費や保険料を負担するよりもスムーズに進められる取引も多いでしょう。
CIFとCIPの内容をさらに知りたい方は、インコタームズのCFR、CIF、CPT、CIPの特徴を比較【図解あり】をご参照ください。
DDP(関税込み持込渡し)
DDP(Delivered Duty Paid/関税込み持込渡し)は指定仕向地までの輸送費や保険料、危険負担を売主が負担します。
| DDP | 主な費用と危険の負担 |
|---|---|
| 売主 |
|
| 買主 |
|
DDPでは買主が行うことは、荷物の積み下ろしだけです。越境ECで選ばれやすい条件ですが、売主の負担は最も大きくなります。もっとも、輸送費や保険料、関税に関する費用相当分を見積り額や価格に加算することで、結果的に買主の負担とすることは可能です。
DDPの内容をさらに知りたい方は、インコタームズのDAP、DPU、DDPの違い、輸出者に不利といわれる理由【図解あり】をご参照ください。

インコタームズに準拠したオンライン受注で失敗しないための7つのポイント
海外との取引は、国内で完結する取引と異なります。インコタームズである程度ルール化はされるものの、そのほかにも押さえておきたいポイントがあります。
海外からのオンライン受注や海外発送でトラブルのリスクを下げ、煩雑な業務の削減を実現するために重要な7つのポイントを紹介します。
①自社と顧客それぞれの責任範囲を明確にする
途中でさまざまな業者が関わる海外取引では、国内輸送と比べてトラブルが起こるリスクは高くなります。
輸送中のトラブルに備えて、どの段階までなら自社で対応するか、どの段階から先は顧客の責任において対応してもらうか、契約書などで責任範囲を明確に定めておきましょう。
②費用の内訳や保険の内容を明記する
輸出にかかる費用を明確に提示することで、顧客の信頼を得られます。内訳を細かく示すとよいでしょう。
例えば「商品はそれほど高くないが、運賃が高いため高額に見える」場合は、内訳を示すことで買主の納得を得やすくなります。
加えて、輸送中に掛けている保険の内容も、買主に知らせておくとよいでしょう。万が一の事態が起きた際の費用負担が抑えられるとともに、買主の安心感にもつながります。
③契約に関する事項や条件を漏れなく明記する
海外との取引では、契約書に書いていない項目でトラブルが起こると、損害をすべて負担させられるなど無理な要求をされるかもしれません。
「細かい内容までいちいち記載すると、文章量が多くなり買主に迷惑がかかるかもしれない」といった配慮は不要です。自社を守るためにも、契約に関する事項や条件を漏れなく明記しましょう。
④あいまいな表現を極力避ける
海外との取引では、「以心伝心」は通用しません。
例えば独立行政法人中小企業基盤整備機構のメディアでは、国内企業どうしでの契約書でよく記載される「甲乙誠意をもって協議し解決」といった誠実協議条項は、海外取引におけるトラブルの解決に寄与しないという趣旨の見解を述べています(日本の商売とはここが違う 海外ビジネス – 海外ビジネスナビ – 中小機構)。
海外の顧客とのトラブルを防ぐためには、契約書には誰が読んでも同じように解釈できる文章で記述することが重要です。あいまいな表現は、極力避けましょう。
⑤国際情勢や輸入制限品をチェックする
海外との取引では、相手国はもちろん関連する国際情勢にも注意して情報を集めましょう。紛争や政情不安などで船や航空機の運航が止まることがあるためです。
- 戦争や内乱で相手国の治安情勢が悪化する
- 船や航空機が経由・通過する地域の治安情勢が悪化する
上記のような事態は、急激に悪化する場合もあります。最新の情報を入手し、判断することをおすすめします。
あわせて海外に発送する商品が、相手国での輸入制限品に該当しないかのチェックも必須です。
例えばインドネシアでは、衣料品や織物などの輸入を制限しています。輸入制限を行う国への発送は、輸入の要件や禁止事項を事前に確認しておきましょう。
⑥「リスト規制」「キャッチオール規制」に該当しないかチェックする
商材や発送先の国・地域によっては、輸出に制限が課される、または輸出できない場合があります。
例えば「リスト規制」に該当する品目は、どの国への輸出でも経済産業大臣の許可を要します。
また「キャッチオール規制」に該当する品目の輸出も、経済産業大臣の許可を要する場合があります。不織布やフェルト、じゅうたんなどは、代表的な品目です。
ただし、アメリカ合衆国やカナダ、韓国、オーストラリア、イギリス、EUに加盟する多くの国など、「グループA(旧ホワイト国)」に指定されている輸出先であれば、原則として許可なく輸出できます。
リスト規制やキャッチオール規制に該当しない品目でも、輸出先が経済制裁対象国に該当していると輸出できない場合があります。例えば北朝鮮への輸出は、すべての品目が禁じられています。
海外取引で輸出を行う場合は、輸出先の国が規制の対象となっていないか、許可が必要な品目でないか、事前にチェックしておきましょう。
⑦インコタームズや輸出業務に対応した受注システムを活用する
海外の企業やバイヤーとの取引や海外発送にかかわる輸出業務は煩雑になりがちで、手入力が多いと担当者の負担となり、人的ミスや情報共有に漏れが生じやすく、チェックにも手間がかかります。
インコタームズに準拠したWeb受注や輸出書類を作成できるシステムを導入できれば、より早くて正確な輸出業務の管理が可能になります。
担当者の負担やミスも減り、コア業務にリソースを集中でき、人件費の削減にも貢献できるでしょう。
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