在庫管理のワークフローにDXによる革新的な変化が起こりつつあります。
DXとは「デジタル・トランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略であり、デジタル技術の活用によって企業が従来の業務に変革を起こし、ビジネスモデルの根本的な改革を行うことを指します。
DXの実行は業務の効率化、省力化だけでなく、新しいデジタル技術を取り入れやすくなり、ビジネスの優位性や競争力の向上が自社の利益やリスク軽減、セキュリティ対策につながります。
この記事では「在庫管理のDX」について、実行する具体的なメリット、DXに有用なツール、導入時の課題などについて解説します。
在庫管理の業務効率の改善、付加価値の創出を検討されている方は、是非とも最後までご覧ください。
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在庫管理のDXとは?
在庫管理のDXは、クラウドツールやAI、IoTなどデジタル技術を在庫管理の業務プロセスに活用し、無駄な作業や人的なミス・負担の軽減に加え、企業や顧客の利益を生み出す環境を整えることを指します。
DXの目的は企業や業態によって異なるものの、下記のような業務のデジタル化が在庫管理のDXになります。
- 24時間リアルタイムに最新の在庫状況が正確に確認できる
- 在庫数量の変動から売上など関連するデータが自動更新される
- 売上データを在庫をふくめて多角的に分析、可視化する
- 受発注や請求など、関連業務とつなげてデータを一元管理
- 商品バーコードのスキャンのみで在庫数量や保管場所、商品データを記録、管理
上記のように在庫管理のDXが実施されることで、納品までのリードタイムを短縮、受発注の際に在庫関連のミス削減、棚卸での数え間違いや転記ミスを防止できるなど、長期的にみてもサプライチェーンが効率化され、自社と顧客の双方のリスクやコストを削減できる効果が期待できます。
人的リソースや在庫リスクを最小化し、企業の競争力と収益性の最大化を図ることが在庫管理のDXが目標とするところです。
DXの効果が高い5つの在庫管理業務
DXは相性の良いワークフローとそうでないものがあります。
特にDXによる改善効果が得られる在庫管理の業務には次の5点があげられます。
- 入荷管理
- 出荷管理
- 返品管理
- フリーロケーション管理
- 棚卸
①入荷管理
入荷管理は、商品が倉庫などに入荷される際に検品や商品データの記録を行い、指定の場所に保管する手続きを行います。
アナログなツールや人力に頼った入荷管理は、数え間違いやデータの打ち間違い、システムへの転記ミスが発生しやすく、ひとつひとつの作業に時間がかかってしまいます。
こうした課題には、バーコードリーダーやRFIDを活用することで解決できます。(後述します)
例えば、商品をバーコードリーダーでスキャンするだけで面倒な入荷処理が完了します。登録された商品の在庫データはリアルタイムにシステム上で確認できるため、納品書との照合もスピーディーに進められるようになります。
②出荷管理
倉庫など在庫の保管場所から顧客のもとへ商品を届けるまでの一連のプロセスが出荷管理です。出荷指示書の作成、ピッキング、梱包、ラベル貼り、配送業者への引き渡しなどが含まれます。
倉庫の本社、倉庫と店舗など拠点間の連携が重要になる出荷管理は、在庫管理システムや倉庫管理システムを導入することで大幅な効率化が可能です。
注文データに基づいた出荷指示書が自動で作成され、担当者に共有されるなど、手作業での入力や連絡を省いた正確な連携が実現できます。
倉庫内の在庫状況はシステム上で常にリアルタイムに把握できるようなり、出荷タイミングの調整など細かい指示が行えるようになります。
出荷作業の業務プロセス全体がスムーズになることで、受注から配送までの時間短縮と正確な在庫管理、顧客満足度の向上が期待できます。
③返品管理
在庫管理のDXは、返品などイレギュラーな在庫の変動に対応しやすくなります。
在庫管理システムなどで、返品情報がリアルタイムに更新され、関係する部署や担当者に共有できれば、手動でデータを変更する必要がなくなり、返品に伴う在庫の乱れを防ぐことができます。
また、AIツールでコスト効率の良い返送ルートの自動選定や、返品が起こりやすい商品や理由の自動分析など、返品対策に役立てるDXも可能です。
特に、返品の起こりやすいECやアパレル業では、返品管理を自動化、効率化できるデジタル化は販売機会の損失を防ぐためにも必須といえるでしょう。
④ロケーション管理
「フリーロケーション」とは、ロケーション管理の1つで、入荷した商品を倉庫の空いた棚に保管していく在庫の管理方法です。
商品ごとに保管場所を割り当てる「固定ロケーション」に比べて、倉庫のスペースを最大限活用できるというメリットがある反面、商品の保管位置が分かりづらくなる問題があります。
DXを取り入れたロケーション管理では、商品データの登録時点で保管場所もシステム上で管理されるため、検索すれば商品がどこにあるのか一目でわかるようになります。
ハンドスキャナやスマートフォンアプリでバーコードをスキャンするだけで商品に最短でたどり着けるようになり、倉庫内を無駄に移動することがなくなり、フリーロケーションの問題点を解決できます。
フリーロケーションの効率化で、倉庫管理コストの削減やピッキング時間の短縮など、倉庫運用を改善するさまざまな効果が期待できます。
⑤棚卸
棚卸もまた、DXの効果が出やすいワークフローです。
デジタル化された在庫管理では、バーコードをスキャンした商品の情報は、在庫数量とともにシステムに登録され、出荷などの変動も更新されます。似ている商品の型番を確認したり、商品の数を目視で数えたりなど棚卸の作業負担を削減できます。
大企業を中心にRFID、AI技術、ドローン技術などを組み合わせて棚卸業務を完全に無人化する試みも進んでいます。
今後、こういった新しい在庫管理の方法が多くの企業で実装されることになるでしょう。
在庫管理のDXに役立つITツール4選
在庫管理のDXを実現するために役立つITツールを4つご紹介します。
中小規模の事業にも導入しやすいツールから大企業向けのツールもありますが、自社の業務やニーズに合ったITツールを選択して活用できれば、在庫管理の業務プロセスは劇的に改善されるでしょう。
①在庫管理システム
まず、在庫管理のDXに欠かせないのが在庫管理システムの導入です。
在庫管理システムは、複数拠点の在庫データを一元管理でき、DXに必要な環境の土台が整います。
- 「どこに何がいくつあるのか」在庫データをいつでも、どこからでも確認
- 受発注や入出荷で変動する在庫データを自動更新
- 受注の引き当て、返品の管理
- 商品の在庫状況の検索
- 発注、ロケーション、棚卸の管理
- 在庫データを分析・可視化して適正在庫を維持
- 販売管理システム、倉庫管理システム、ECとの在庫連携
卸売や製造業、物流、部品、医薬品など業種や取り扱い商品に特化した在庫管理システムや、在庫管理機能を搭載した販売管理システム、複数ECの在庫を一元管理できるシステムなど、利用する企業のニーズに合わせた在庫管理のITツールがあります。
これから在庫管理システムを導入するなら、クラウド型がおすすめです。
クラウド型はインターネットを通して在庫管理システムを利用します。
導入コストが低くおさえられ、システムのメンテナンスやアップデート、法改正への対応などをクラウドサービスの提供企業に任せることができます。
利用料金も月額数千~数万円と、オンプレミスに比べて長期的な維持費を安くできる点も、企業の規模を問わず導入できる在庫管理システムとしてクラウド型が選ばれる理由の1つです。
関連記事:
クラウド在庫管理システムの種類、導入メリットとは?
卸売に適した在庫管理システムを選ぶ重要ポイント5選
②バーコードスキャン
商品管理や店舗運営に必須のバーコードやQRコードなど2次元コードは、在庫管理でもコストやリスクを削減して業務効率を向上させることができます。
バーコードスキャナと在庫管理システムと連携すると、ラベルを読み取るだけで商品やロケーションの登録、検品やピッキングのデータ照合など入出庫や棚卸の作業がスピードアップするだけでなく、人的なミスも起こりづらくなり、作業負担や管理コストを大幅に削減できます。
バーコードリーダーやハンディターミナルだけでなく、スマートフォンでもこういった業務を行うこともできます。棚卸などの倉庫内業務を改善するなら、バーコードスキャナと在庫管理システムの連携が有効です。
③RFID
RFID(Radio Frequency Identification)とは、電波など無線で商品タグを読み取り通信できる技術です。
読み取りに使うタグはICタグ、IDタグ、電子タグなどと呼ばれ、交通系ICカード(SuicaやICOCA)や高速道路のETCカード、レンタルDVDなどで導入されています。
一点ずつ読み取らないといけない2次元コードと比べて、RFIDの優位性は多く、次の5点があげられます。
- 離れた場所からでも読み取れる
- 複数の商品を一括で読み取れる
- 商品を動かさずに一括で読み取れる
- タグが見えなくても読み取れる
- 情報の書き換え、追加ができる
非接触・遠隔での読み取りがメリットになる反面、「導入・運用コストが高い」「水や金属に弱い(液体や金属に対応したタグがあります)」「読み取りの失敗がある」というデメリットもありますが、大規模な倉庫や物流センターでは導入が進み、有効活用されています。
④AIカメラ
AIによる画像認識機能を搭載した「AIカメラ」の導入が進んでいます。
AIカメラはただ映像を撮影するだけでなく、機械学習により倉庫内の在庫の動きをチェックして分析します。
常に詳細な在庫状況を把握できるだけでなく、在庫数の急速な変化や閾値を切った商品は担当者にアラートで通知する、など在庫トラブルを未然に防ぐ機能も利用することができます。
高精度なAIカメラは在庫の変動を24時間監視して記録できるため、棚卸や入出庫管理だけでなく、異常検知によって盗難の防止にも役立ちます。
ただし、導入コストが高い点や、死角を作らないカメラの配置や商品の置き方に工夫が求められる点には注意が必要です。
在庫管理のDXに失敗しないためには?
最後に、DXを進める障害となりやすい課題や注意点について触れておきます。
ITに対応できる人材を確保する
在庫管理のDXを推し進めるには、まずは人材の確保が重要です。
社内の業務やリソースを把握した上で、どの作業がどのようにデジタル化すれば良いのか全体像を理解できる人材がいなければ、DXのスタートラインでつまずいてしまいます。
とはいうものの、ITに強い人材は特に不足しており、採用や育成は容易ではありません。
自社でDX担当者のアサインが難しい場合は、アウトソーシングやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の利用を検討してみるのも良いでしょう。
もちろん、最終的には自社でITに強い人材を採用、育成できる体制になることが理想的ですが、まずは外部の専門家の力を借りることでDXへの一歩が踏み出しやすくなります。
レガシーシステムへの対応
レガシーシステムとは導入から長い時間が経ち、現在の業務内容に合わなくなっている古いシステムを指します。
レガシーシステムは業務を効率よく進められないだけでなく、新しいITツールと連携がとれないことや、データのブラックボックス化、扱える人材が限られることによる属人化など、様々な問題をかかえています。
在庫管理でいえば、Excelやスプレッドシート、またはオンプレミスのシステムを運用している企業などで問題が顕在化しており、DXへの足かせとなっています。
旧システムからの乗り換え、データ移行が社内のリソースでは困難な状況であれば、データの移行・連携を専門とする外部の業者にアウトソーシングすることもできます。
データ管理の技術に長けた業者に任せることで、複雑化したシステムを不用意に操作してデータがどこかにいってしまったり、移行先での保存場所が分からなくなったり、データそのものが消えてしまうといったリスクを解消し、安全に移行できるメリットがあります。
大事なデータを外部業者に扱わせることに抵抗がありますが、信頼性を高めるセキュリティ体制をじゅうぶんに整えている業者を選ぶことでリスクを最小限にできるでしょう。
何より、依頼することでスムーズかつスピーディーに新しいシステムを導入できる効果は大きいです。
レガシーシステムがDXの障壁となっているなら、アウトソーシングの利用を検討してみる価値は十分にあります。
自社に合ったツールを選定する
数多くの在庫管理に関するITツールがリリースされており、選定がやや困難になっています。
どれを選べば良いのか、選定基準がわかない場合、次の3点に注目して比較、検討してみましょう。
- 自社の業種、業務に合っている
- 現行システムとスムーズに移行、連携できる
- 理解しやすく、操作性が優れている
例えば、特定の業種に特化しているクラウド在庫管理システムには次のような機能があります。
- アパレル業 : サイズやカラー、素材などのSKU単位での管理
- 製造業 : 部品や仕掛品ごとの管理、完成品と紐づけた管理
- 食品業 : 消費期限の管理やトレーサビリティの管理
現行システムとの連携、移行は、API連携やCSV連携で現行システムと合った対応ができるかを判断すると良いでしょう。
ツールのわかりやすさと操作性は、積極的に無料体験や説明会、担当者との打ち合わせを活用しましょう。
サポート体制やユーザビリティを重視しているITツールやクラウドサービスも増えており、無料体験で自社の業務内容や商習慣に合った運用ができるかを判断したり、導入から定着までのサポートを確認するのはそう難しくないはずです。
上記の点を考慮しつつ、予算などの条件と照らし合わせて、自社に最適なツールを導入できるよう評価、選定を進めましょう。
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