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いまや法人の事業運営に、ITは欠かせない存在です。その一方で、膨らみ続けるITコストに頭を悩ませている担当者の方も多いのではないでしょうか。
システムの新規開発や導入費用に加え、毎月・毎年発生する保守費用やライセンス料、クラウドの利用料が、気づかないうちに経営を圧迫しているケースは少なくありません。
ITコストとは、システムの導入・開発から運用・保守までにかかる費用の総称です。
業務の見直しや契約内容の工夫によって、多くの場合は削減が可能です。全社的に棚卸しをしてみると、使われていないライセンスや重複したツールなど、想定外の無駄が見つかることもあります。
本記事では、ITコストの内訳から具体的な削減方法、実効性の高いコスト削減を実現させるポイントまでを解説します。
目次
ITコストの削減が自社にもたらす3つの効果
経済産業省のDXレポート(2018年)でも、日本企業のIT関連費用の約8割が既存システムの維持・運営に充てられ、新たな価値を生むIT投資に資金が回っていない実態が指摘されています。
ITコストの削減は、単なる節約にとどまらず、事業運営に3つの効果をもたらします。それぞれの内容を確認し、自社にとってのメリットを把握しておきましょう。
①経費が減り、利益を増やせる
ITコストを削減すれば、その分だけ経費が減ります。
売上の増加が見込みにくい環境であっても、削減した金額がそのまま利益の増加につながる点が大きな特徴です。利益率が改善すれば、金融機関や取引先からの評価向上も期待できます。
とくに効果が大きいのが、ランニングコストの削減です。
保守費用やライセンス料、クラウド利用料といった毎月・毎年発生する費用を見直せば、その削減分が継続的に利益に上乗せされます。一度の見直しで長期にわたって効果が続く点で、優先的に取り組むべき領域といえます。
②固定資産税(償却資産税)を抑えられる
オンプレミスのサーバーやパソコン、ストレージなどの機器を保有していると、原則として固定資産税(償却資産に対する固定資産税)が課税されます。税率は標準で課税標準額の1.4%で、課税標準額は毎年1月1日時点で保有する償却資産の評価額の合計です。多数の機器を保有する法人にとっては、まとまった負担になります。
対象となるのは、取得価額が10万円以上の資産です。ただし、10万円以上20万円未満で「一括償却資産」として処理したものは対象外となります。一方、中小企業者等の少額減価償却資産の特例(30万円未満の即時償却)を適用した資産は、課税対象に含まれる点に注意しましょう。
また、課税標準額の合計が150万円未満であれば、免税点の規定により課税されません。
注意したいのは、評価額が取得価額の5%を下回らない点です。機器を使い続ける限り、評価額がゼロになることはなく、一定の税負担が続きます。
サーバーやストレージをSaaSやクラウドサービスに置き換えれば、自社で保有する償却資産が減り、固定資産税の負担を軽減できます。なお、具体的な課税関係は資産の処理方法によって異なるため、詳細は顧問税理士や所在地の市区町村にご確認ください。
③削減した資金を、成長投資や待遇改善にあてられる
ITコストの削減で生まれた資金は、利益として確保するだけでなく、事業強化の原資として活用することもできます。たとえば、次のような使い道が考えられます。
- 成長事業への投資
- 給与・賞与の引き上げ
- 採用の拡大
成長や収益につながる分野に重点的に資金を振り向けることで、コスト削減を「守り」で終わらせず、業績向上という「攻め」につなげられます。人材の確保・定着が経営課題となるなか、待遇改善の原資を生み出せる点も見逃せません。
ITコストに含まれる項目
ITコストには、システムやハードウェアの費用だけでなく、通信費や人件費、教育費まで幅広い項目が含まれます。代表的なものは以下のとおりです。
- システムの開発・運用費
- IT設備の導入費・廃棄費
- サーバーやストレージなどのハードウェア費用、および設置場所の確保にかかる費用
- 自社のインターネット回線・社内ネットワークの構築費と通信費
- セキュリティ対策の機器・システムにかかる費用
- 自社で利用するクラウドサービスの利用料
- オフィスソフトなど、全社で利用するソフトウェアのライセンス料
- 従業員に貸与するパソコンや携帯電話の費用
- プリンタなどの周辺機器の費用
- 情報システム部門など、IT関連業務に携わる従業員の人件費
- システム開発・運用の外注費
- 従業員向けのシステム研修・教育費
これらは、導入時に発生する「初期費用(イニシャルコスト)」と、継続的に発生する「運用費用(ランニングコスト)」に大別できます。削減効果が長く続くのは後者のため、まずはランニングコストの洗い出しから着手するのが効率的です。
ここからは、ITコストをさらに細かく分類したうえで、混同されやすい「システムコスト」との違いも解説します。
ITコストは「直接コスト」と「間接コスト」に分けられる
ITコストは、費用の発生のしかたによって「直接コスト」と「間接コスト」に分けて捉えると、全体像を把握しやすくなります。
本記事では、外部への支払いとして金額が明確に見える費用を直接コスト、社内で発生していながらIT費用として認識されにくい費用を間接コストとして整理します。
| ITコストの種類 | 説明 | 代表例 |
|---|---|---|
| 直接コスト | 外部への支払いとして、金額が明確に把握できる費用 |
|
| 間接コスト | 社内で発生し、IT費用として認識されにくい費用 |
|
間接コストは、請求書のように外部への支払額が明示されないため、見落とされがちです。しかし実際には、直接コストと同等以上になる場合もあります。
ITコストの削減を検討する際は、直接コストだけでなく間接コストまで含めて全体を把握することが重要です。
ITコストとシステムコストの違い
ITコストとシステムコストの違いは、対象とする範囲にあります。
システムコストとは、特定のシステムにかかる費用を指し、そのシステムの設計・構築から運用、廃棄までのコストが対象です。たとえば「販売管理システムのシステムコスト」のように、個別のシステム単位で捉えます。
これに対しITコストは、社内で利用するITに関わる費用全体を指します。
従業員が使うパソコン、オフィスソフトなどの汎用ソフトウェア、プリンタなどの周辺機器はITコストに含まれますが、特定のシステムに紐づかないため、システムコストには含まれないことが一般的です。
つまり、システムコストはITコストの一部と位置づけられます。コスト削減に取り組む際は、個別システムの費用だけを見直すのではなく、ITコスト全体を俯瞰して無駄を探すことが成果につながります。
ITコストを削減する5つの方法
ITコストを削減する代表的な方法は、「棚卸しによる不要な支出の停止」「SaaS・クラウドの活用」「重複システムの統合」「契約内容の見直し」「外部の専門家によるチェック」の5つです。
それぞれの進め方と効果を解説します。
①システム・機器・ライセンスを棚卸しし、不要なものを停止する
最初に取り組みたいのが、社内で使っているシステムや機器、ライセンスの棚卸しです。使われていないシステムやライセンスを停止すれば、保守契約や利用料といったランニングコストを以後支払わずに済みます。
とくに見落とされやすいのが、退職者や異動者のアカウントに紐づいたままのSaaSライセンスです。ユーザー数に応じて課金されるサービスでは、利用実態のないアカウントがそのまま無駄なコストになっています。
不要になった機器の扱いも見直しましょう。他部署で転用できれば、新たな機器を購入せずに済み、調達コストの削減につながります。
②SaaS、クラウドの活用を検討する
SaaSやクラウドの活用は、初期費用とランニングコストの両方を削減できる方法です。
サーバーやストレージなどのハードウェアを自社で保有しなければ、導入時の高額な機器購入費が不要になり、機器の保守費用や償却資産に対する固定資産税も発生しません。
SaaSであれば、データベースなどのミドルウェアのライセンス費用や保守費用も不要です。
製品によっては、データベースの年間保守費用が100万円を超えるケースもあり、削減効果は小さくありません。また、利用した期間・規模に応じた料金体系のため、必要な分だけ支払う運用が可能です。
ただし、年間契約で一括払いが求められるサービスや、長期間・大規模に利用すると割高になるケースもあります。導入時は、5年程度の期間で総額を比較して判断しましょう。
なお、セキュリティ対策の費用は安易に削減の対象とすべきではありません。情報漏洩やランサムウェア被害による損失は、削減額を大きく上回るおそれがあるためです。
販売管理
SaaSの販売管理システムを導入するメリットとデメリット、選び方の注意点
SaaS型の販売管理システムを従来のシステムと比べたメリットとデメリット、選び方のポイント等を解説します。
③部門間で重複するシステムを統合する
企業によっては、複数の部門で似た機能のシステムが別々に稼働しているケースがあります。システム導入の決定権が各部門にある場合に起こりやすく、部門ごとのニーズを優先する「部分最適」で導入を進めた結果といえます。
重複するシステムを統合すれば、次のような支出を削減できます。
- サーバー・ストレージ、ミドルウェアの保守費用
- システムの保守費用
- 障害発生時の対応費用(スポット保守費用など)
- 償却資産に対する固定資産税
- SaaSやデータセンターの利用料
システムの統合にはデータ移行などの一時的な費用がかかりますが、その後のランニングコストを継続的に抑えられます。
既存システムの更新時期に合わせて統合すれば、別々に更新する場合に比べて新システムの導入費用も削減できるため効果的です。
④契約内容を見直し、費用対効果の高いサービスへの切り替えを検討する
契約内容の見直しや、他サービスへの乗り換えも有効なITコストの削減方法です。
まずは、現在契約しているすべてのサービスについて、プラン・利用人数・オプション・契約期間などを確認しましょう。利用実態に対して過剰なプランを契約していれば、プランの変更だけでコストを下げられます。
より費用対効果の高いサービスがあれば、乗り換えも検討します。
この取り組みは、一度で終わらせず継続することが大切です。契約更新の前に内容を確認する仕組みをつくり、日ごろから新しいサービスの情報収集も行いましょう。
自社に最適なサービスを選び続けることが、トータルでのITコスト削減につながります。
⑤外部の専門家にITコストをチェックしてもらう
外部の専門家にITコストを診断してもらう方法もあります。
多くの企業のIT環境や契約内容を見てきた専門家であれば、社内では気づきにくい無駄や改善余地を指摘してくれる可能性があります。
コンサルティング会社のなかには、ITコスト削減に特化した支援サービスを提供する会社もあります。「自社だけではなかなか削減が進まない」という場合は、こうしたサービスの活用も検討するとよいでしょう。
ITコストの削減で押さえておきたい5つのポイント
ITコストの削減を成功させるには、「全体最適で考える」「業務改革とセットで進める」「現場の使いやすさを重視する」「自社が主体となって取り組む」「使用頻度の低い機器はレンタルを活用する」という5つのポイントを押さえることが重要です。
それぞれ確認し、効果的なITコストの削減につなげましょう。
①全体最適の視点で考える
ITコストの削減は、部門単位ではなく全社最適の視点で考えることが重要です。自社全体を俯瞰し、最適なITの構成を検討しましょう。部門ごとの最適化を積み重ねても、全社として最適な状態にはなりません。
業務内容によっては、拠点や部門ごとに分散している業務を集約する、あるいは外部に委託することも選択肢です。
たとえば、各拠点で個別に運用していた経理業務を本社に集約すれば、拠点ごとに導入していた会計システムやライセンスを一本化できます。社内ヘルプデスクの一次対応を外部委託し、対応用のシステムや人員を削減する方法もあります。
ただし、全体最適の施策は、一部の部署や従業員にとって不利益と受け止められる場合があります。「自分の仕事がなくなるのでは」と反発を招くこともあるでしょう。
目的と効果を丁寧に説明するとともに、リスキリングなどを通じて円滑な配置転換を進めることが大切です。
②現行の業務を前提とせず、業務改革とセットで進める
ITコスト削減の障害になりやすいのが、「今の業務のやり方をそのまま続ける」という現行踏襲の考え方です。非効率な業務が残ったままでは、それを支えるシステムも削減できず、コスト削減の効果は限定的になります。
大きな成果をあげるには、ITコスト削減を業務改革や業務効率化の一環として位置づけることが効果的です。
業務プロセスを見直して不要な業務をなくせば、その業務のために使っていたシステムやライセンスも不要になります。コスト削減に着手する際は、まず「その業務自体が本当に必要か」から問い直しましょう。
③実務担当者の使いやすさを重視する
コスト削減を優先するあまり、実務担当者の使いやすさを犠牲にしてはいけません。安価なシステムを導入しても、現場で使われなければ効果は生まれないためです。
使われないシステムは業務の改善に寄与せず、結果的にExcelや紙での管理が残って二重管理になることもあります。さらに、システムを選び直して再導入する事態になれば、かえってコストが増加します。
こうした事態を防ぐには、選定段階で現場の担当者にトライアルやデモを試してもらい、使いやすさを評価項目に含めることが欠かせません。
④外部に任せきりにせず、自社が主体となって取り組む
専門家に相談する際によく見られるのが、「当社はITに詳しくないので、すべてお任せします」という姿勢です。
専門家の知見を尊重しているようにも見えますが、実際には成果につながりにくいアプローチです。専門家であっても、社内の細かな事情や業務の実態までは把握しきれず、現実とずれた提案になりがちなためです。
ITに詳しくない担当者でも、「この業務は必要」「この業務はなくせる」といった業務面の判断はできるはずです。自社でできることには主体的に取り組み、そのうえで専門家と議論する。この姿勢が、実効性の高いITコストの削減につながります。
⑤使用頻度の低い機器はレンタルを活用する
「業務で使う機器はすべて自社で保有する」という方針の企業も少なくありません。しかし、すべてを購入すれば取得費用はかさみます。
たとえば展示会でのみ使用するタブレット端末のように、年に数回しか使わない機器を購入すると、1年のほとんどの期間は使われないまま保管されることになります。
取得価額によっては償却資産として固定資産税の課税対象となるため、「ほとんど使わないのに税金だけはかかる」という状態にもなりかねません。
使用頻度の低い機器には、レンタルの活用がおすすめです。
数日程度の利用であれば、購入するより安く済むケースが多く、使用後は返却すればよいため保管場所も不要です。自社の資産にならないため、固定資産税の負担も生じません。
ITコスト削減は「現状を疑い、全社で見直す」ことから始めよう
ITコスト削減の出発点は、当たり前になっている現状に疑問を持つことです。
「複数の部署で同じ業務を行っているが、統合できないか」「年に数回しか使わない機器は、レンタルで十分ではないか」。こうした問いを一つずつ検証していくことが、大きなコスト削減につながります。
具体的な取り組みとしては、システム・ライセンスの棚卸し、SaaS・クラウドの活用、重複システムの統合、契約内容の見直し、外部専門家による診断の5つが有効です。
まずは「自社のITがどこで・どのように使われているか」を全社規模で整理し、直接コストだけでなく、人件費や電気代といった見えにくい間接コストも含めて見直しを図りましょう。
【卸売、メーカー向け】販売管理業務のITコスト削減なら、クラウド販売管理DEXTRE
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卸売やメーカー、商社の販売管理にかかるITコストを削減するには、クラウド販売管理 DEXTRE(デクスター)の活用をおすすめします。
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