消化仕入れと委託販売の違い|仕組みや所有権、リスク負担などを解説

消化仕入れと委託販売の違い|仕組みや所有権、リスク負担などを解説

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「委託販売」は、アパレルや時計、宝飾品、雑貨、本、アンティーク家具などの高級品、アート関連商品などで行われる取引形態です。今では、ネットショップでも委託販売が行われています。

 

委託販売と合わせてよく聞く言葉に「消化仕入れ」があります。

消化仕入れは、主に百貨店(デパート)での販売で行われる商慣習ですが、委託販売と似ていることや、どちらも同業界に広く普及していることから、混同している方が少なくありません。

消化仕入れと委託販売は、厳密には異なる取引形態であり、取引する際は双方の認識をしっかり確認しておかないと、のちのち思わぬトラブルにつながってしまう恐れもあります。

 

本記事では、消化仕入れと委託販売のどこが違うのか、実際の取引での扱われ方、それぞれ取引を始める際の注意点などを解説します。

 

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委託販売とは?

委託販売とは?仕組みと流れ

 

委託販売とは、商品の所有権をもつメーカーや卸売業者(委託者)が、外部の小売店や販売代理店など(受託者)に商品を預け、代わりに売ってもらう取引形態です。

納入後も、所有権が受託者に移転しない点が一般的な卸売と異なります。

 

 

委託販売のメリット

委託販売のメリットは、自社の人的リソースや広告宣伝費を割くことなく、知名度や販売のノウハウを持った受託者に販売業務を任せられる点にあります。

また、大型ショッピングモールや専門店、ECモールなど集客力のあるところで自社商品の販売が行える点も委託販売の大きな魅力といえるでしょう。

 

受託者にとっても、在庫リスクを抱えずに売上げが見込め、顧客に多様な商品展開を顧提供できるなど、委託販売のメリットがあります。

 

出版業界の委託販売

上記の委託販売は基本的な仕組みですが、実際には業界の商慣習にあわせて本来とは違った形態で導入されていることもあります。

 

例えば、出版業界だと「委託販売」と称して出版社、販売会社(取次)と書店とで企業間売買が行われています。

しかし、一定期間が過ぎても本が売れなかった場合、書店は一度購入した商品を条件に従って返品することができます。
(本来の意味の委託販売と区別するため、「返品条件付き売買」「返品制」と呼ぶこともあります。)

 

このように、委託販売は業界の商慣習にフィットするよう仕組みや条件を変えながら、流通や販売の契約が成り立っています。

 

消化仕入れと委託販売の違い

消化仕入れとは?

消化仕入れは、百貨店特有の商慣習となりつつある取引形態です。

消化仕入れとは、主に百貨店をはじめとした小売業の取引形態、商慣習

 

消化仕入れは、サプライヤーが納入した商品を百貨店が店頭で販売します。

納入段階で所有権が移転しない点は委託販売と同じですが、消化仕入れの場合、消費者が商品を購入した時点で百貨店が仕入れを行い、同時に販売も行ったことになる取引形態です。

 

 

所有権の移転

消化仕入れでは商品の所有権は、販売が成立した瞬間に「サプライヤー→百貨店→消費者」へと移転することになります。

販売時の所有権移転メーカーの取引相手
消化仕入れメーカー→百貨店→消費者百貨店
委託販売メーカー→消費者消費者

 

所有権の扱いが、消化仕入れと委託販売が異なる最も大きなポイントで、委託販売では所有権を維持したままのメーカーの取引相手は商品を購入した消費者になりますが、消化仕入れではメーカーの取引相手は販売した瞬間に所有権が移転する百貨店になります。

 

「小売業者が在庫リスクを負わない」「サプライヤーはコストを抑えて出店できる」など、メリットが似ているため混同されやすいのですが、この違いは「売掛金に関するリスク」をどちらが負うかの条件も異なってきます。

 

「売掛金」と「クレジット売掛金」のリスク負担

売掛金とは、販売した商品のうち、まだ入金が完了していない取引を指します。
クレジットカードの使用で生じた売掛金は「クレジット売掛金」といいます。

 

顧客に対して売掛金及び、クレジット売掛金に関するリスクをどちらが負うかは、消化仕入れと委託販売の違いに挙げられる代表的なものです。

売掛金に関するリスク
消化仕入れ百貨店
委託販売メーカー

 

消化仕入れは、百貨店が形式上メーカーから仕入れて顧客に販売するわけですから、売掛金に関するリスクは百貨店のものとなります。

一方、委託販売は形式上はメーカーと顧客が直接取引したことになりますから、売掛金の回収及び貸し倒れリスクはメーカー側で負います。

 

クレジット売掛金のリスクはカード会社が負うものと思ってしまいがちですが、カードの不正利用によるリスクは事業者側でも考慮しなければなりません。

 

仮に、カードが盗難や詐欺によって不正利用されていた場合、カード会社ではその利用を取り消す「チャージバック」という制度を設けています。

チャージバックが適用されると、販売した商品の代金はカード会社の保証の範囲内でしか回収することができません。

 

貸出伝票、返却伝票の有無

消化仕入れと委託販売の違いは、事務処理の業務にもあります。

 

委託販売は売れるまで「商品を貸し出している」のに対して、消化仕入れは商品が売れた時点で初めて「仕入れ」という取引が発生します。

 

つまり、消化仕入れの場合、商品が百貨店に納入された時点では、百貨店は仕入れを計上せず、支払いも生じません。商品の納入のみが行われます。

 

一方、委託販売は、商品を貸し出したことを証明する「貸出伝票」が発行されることが一般的です。
また、売れ残りを返却する場合はそれに伴って「返却伝票」が発行されます。

 

業界によっては独自の慣習が形成されていることも多いのですが、「消化仕入れ」と「委託販売」の業務上の違いには、このような「仮仕入れ」にあたる業務の有無があります。

 

百貨店への委託販売の独自性

委託販売は業界や商慣習によって、独自の取引や流通のルールが定着していることが少なくありません。

百貨店業界においても同様で、百貨店での委託販売は、委託者のメーカー側が自社で販売員を雇用する形態をとっています。

 

つまり、百貨店は販売の場所と機会のみを提供するにとどまり、メーカー側は「販売業務を外部のスタッフに任せられる」という委託販売のメリットを享受できないことになります。

当然、在庫リスクもメーカー側で負担します。

 

負担リスクがメーカー側に偏在する理由

消化仕入れも同様に、なぜこのように百貨店側が有利になる取引形態になっているのかというと、ここ数十年の間、百貨店の集客力や販売力、信用が販路としてとても価値が高かったからです。

 

特に、消化仕入れや委託販売が百貨店業界で定着したと言われる1950年代から1970年代ごろの日本では、百貨店のブランド力は絶大でした。

卸売業者やメーカーから見た百貨店は、よくモノが売れる場所であると同時に、「商品を置いている」という事実そのものが自社の信用や認知を大きく高めてくれる場所だったのです。

 

このような背景から、本来小売業者である百貨店が受け持つ業務やリスクをメーカー側が肩代わりする「消化仕入れ」や「委託販売」の文化が生まれたといわれます。

 

大型ショッピングモールや専門店、ECサイトの幅広い普及により、「衰退した」といわれる百貨店業界ですが、都市部では今でも力のある店舗が多いです。

 

特にアパレルブランドを中心に、百貨店販売を自社のブランディングの機会としてとらえている企業は多く、こういった委託者にとっては自社で教育したスタッフを販売員として百貨店に派遣できることが、メリットとして映ることもあるようです。

 

まとめ

「消化仕入れ」と「委託販売」の違いは、販売や仕入れの業務に直接携わらなければ、同じ業界に働いていても意味を混同してしまっている人も多いでしょう。

業界ごとに独自の商慣習が築かれている取引形態も多いため、「委託販売で契約したのに、思っていた仕組みと違っていた…」というようなことも起こりえます。

 

「委託販売」「消化仕入れ」を導入する際は、双方で事前に認識を合わせ、取引や流通についての詳細や、自社が担当する業務やリスク、支払や仕入れのタイミング、在庫のやり取りなど取り決めについて十分に確認しましょう。

 

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