消化仕入れとは?仕組みやメリットとデメリット、複数ヵ所の在庫管理をシステム化するには?

消化仕入れとは?仕組みやメリットとデメリット、複数ヵ所の在庫管理をシステム化するには?

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百貨店や大型ショッピングモールは立地が良く多くの人が集まり、メーカーやブランドにとって魅力的な販売機会を提供する出店先です。

 

反面、テナント料などランニングコストが高くなる傾向にあるため、出店できる企業は多くありません。
そのため、百貨店をはじめとする小売業者とメーカーの間には「消化仕入れ」という取引形態があります。

 

この記事では、消化仕入れについて仕組みやメリットとデメリットなどを、わかりやすくお伝えします。

 

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消化仕入れとは?

消化仕入れとは、主に百貨店をはじめとした小売業の取引形態、商慣習

 

消化仕入れとは、主に百貨店をはじめとした小売業の取引形態、商慣習です。「売上仕入れ、売仕(うりし)」ともいいます。

 

一般的な仕入れでは、小売業者が卸業者やメーカーから商品を買い取った後、販売を行います(買取仕入れ)。
小売業者は仕入れ価格よりも高く消費者に販売することで、差額を利益として計上します。

 

一方、消化仕入れは、百貨店で商品が売れた瞬間に仕入れが行われたことになります。仕入れと売上が同時に計上され、商品の所有権は「サプライヤー→百貨店→エンドユーザー」へと移動します。

商品が売れるまでは、商品の所有権や在庫の管理や移動、価格の決定権はサプライヤー側にあります。

 

仕入れに関する仕訳は、商品が販売された時点で行われるため、百貨店は商品が売れた分だけをサプライヤーから買い取ることになります。つまり、百貨店側は在庫リスクを抱えることなく商品を販売できる(一定期間を過ぎれば返品できる等)メリットがあります。

 

なぜこのような契約形態が成立するのかというと、それだけ百貨店が商品を売る場所としての魅力を持っているからです。

特に、消化仕入れが行われだした1950年代は、百貨店は今以上に絶大な集客力を誇っていました。
卸業者やメーカーからすれば、本来小売業者が負うべき在庫リスクを肩代わりしてでも自社商品を置いてもらいたい場所だったのです。

 

以降、消化仕入れは高度経済成長期を通して広まっていき、現在まで続く商慣習として定着するようになりました。

 

消化仕入れと委託販売

消化仕入れとしばしば混同される取引形態に「委託販売」があります。

 

委託販売とは、メーカーや卸売業者(委託者)から商品を小売業者や販売代理店(受託者)に預けて、販売業務を代行してもらうる取引形態です。

受託者は、売上から数割を「手数料」として受け取り、利益とします。

 

小売業者側が在庫リスクを負わない点は共通しており、どちらの形態も百貨店販売で行われるため混同しやすいですが、両者には大きく異なる点がひとつだけあります。

 

それは、「委託販売」はあくまでも商品が売れるまで小売業者が預かるだけ(所有権はサプライヤーのまま)なのに対し、「消化仕入れ」は形式的とはいえ、売れた段階で小売業者が一度商品を仕入れたことになる(所有権がサプライヤー→小売業者に移転)点です。

 

つまり、サプライヤー側から見ると、消費者に販売する(委託販売)か、小売業者に販売する(消化仕入れ)かの違いがあるわけです。

 

ささいな違いのようですが、どちらを選ぶかによって対応する業務や負うリスクが変化する場合もありますので、この点は抑えておく必要があります。

 

 

消化仕入れのメリット(サプライヤー側)

小売業者が本来抱えるべき在庫リスクを負わない消化仕入れは、百貨店側が一方的に有利な取引形態のようにも思われますが、サプライヤー側にも確かなメリットがあります。

 

コスト削減

テナント料など出店の運営コストや、広告宣伝の集客コストをおさえて売上げが見込める点があげられるでしょう。

ショッピングモールやECサイトが台頭したとはいえ、百貨店は今も魅力的な販売場所の1つです。

消化仕入れは商品に関する契約を交わすだけで、百貨店の持つ集客力、ブランド力を自社商品の販売に活かすことができます。

 

価格や陳列の決定権がある

消化仕入れは商品が売れるまで商品の所有権は自社側に残るので、百貨店の一存で陳列方法を決めたり、値引きをされることがありません。

自社商品のブランドイメージをコントロールしたいアパレルブランドや、百貨店への出店をブランドの認知を広げる機会ととらえるサプライヤーにとってはメリットになります。

 

在庫を移動しやすい

ECサイトや直営店舗など、複数の販売チャネルをもつサプライヤーは「在庫の移動が行いやすい」という点も、消化仕入れの強みです。

 

商品の売れ行きは店舗の場所や販路によって異なることが珍しくありません。

在庫管理を自社が持つことで、販路ごとの売れ筋商品を移動させやすくなり、機会損失のリスクが減少します。

 

消化仕入れのデメリット(サプライヤー側)

在庫リスク

サプライヤーにとっての消化仕入れのデメリットは、在庫管理を自社で行わねばならない点です。

前述した通り、有利に働く面もありますが、やはり本来小売業者が負うべき在庫リスクやリソースを自社で負わなければならない点はデメリットともいえます。

 

入金サイクルが長い

商品を納入した時点で仕入れが確定する一般的な卸売りと比べて、消化仕入れは入金タイミングが遅くなります。

商品を納品した時点では支払いが生じない消化仕入れは、月ごとの商品が売れた分を翌月以降に入金する仕組みが大半です。

自社の生産体制や原料の仕入れなど、消化仕入れを想定した計画を立てておかなければ、資金繰りが悪化してしまうリスクがあります。

 

百貨店側から見た消化仕入れのデメリット

百貨店側から見た消化仕入れのデメリットもあり、近年ではやや顕在化しつつあります。

 

利益の圧迫

一般的な仕入れの場合と比べて消化仕入れは掛け率が高くなるため、百貨店の利益が少なくなります。
売れなければ利益にならないため、資金繰りの悪化につながるリスクもあり、在庫処分もできません。

 

景気変動で消費が落ち込み、バブル経済期にピークだった販売力が低下傾向にある百貨店には、消化仕入れはリスクの高い取引形態になりつつあります。

 

価格競争に不利になる

販売価格を百貨店側で自由に決定できず、価格競争に参入できない点も難点です。

希望小売価格での販売がブランド力の保持に役立つ面もありますが、大型ショッピングモールや専門店が台頭し、ECサイトでの購入が当たり前になった今、「百貨店のブランド力」だけでモノが売れる時代は既に過ぎ去った感があります。

 

販売チャネルの多様化

消化仕入れは百貨店が持つ唯一無二の集客力、販売機会の魅力があってこそ成り立っていた商慣習です。

直営店、ショッピングモール、ECサイトやECモールなど販売チャネルが分化し競争が激化した今、不利な条件を飲んでまで百貨店を選ぶサプライヤーは少なくなりつつあるのが現状です。

 

消化仕入れは百貨店側にとって有利な取引形態である一方、サプライヤーにかかるリスクや負担が、仕入れ先の幅を狭めることにつながっていることも事実でしょう。

 

まとめ

消化仕入れは、戦後からバブル経済期まで百貨店の隆盛とともに定着した商慣習ですが、現在は若干レガシー化してしまっていることも否めません。

 

とはいうものの、イベントやポップアップなど期間限定の販売、消費者の反応や売れ行きの調査、自社商品のブランディングなど、百貨店は独自の強みがあり、販路拡大の重要な選択肢です。

 

百貨店との消化仕入れでは、サプライヤーは「在庫リスクの負担」にどう対処できるかが自社の利益を確保する一因となります。

複数の場所の在庫を、オンラインで効率的に管理できるソフトウェアや販売管理システムが数多く存在します。

 

消化仕入れによる販売を、自社の負担やリスクを軽減しながら効果的に運用するなら、システム化によって在庫管理の業務を改善、効率化すると良いでしょう。

 

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