受注販売とは?売上や顧客へのメリットとデメリット、向き・不向きの商品を徹底解説

受注販売とは?売上や顧客へのメリットとデメリット、向き・不向きの商品を徹底解説

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商品の販売方法の一つに、顧客から注文を受けて販売する「受注販売」があります。

店頭に無い商品でも販売できる一方で、商品を発注する業務が必要になります。「どの商品を店頭に置き、どの商品を受注販売にするか」という点に悩む方も多いでしょう。

 

この記事では受注販売についてどのような種類があるか、業務や顧客にどのようなメリットやデメリットがあるのかに加えて、どのような商品が受注生産に向いているか、あるいは不向きかを解説します。

 

これから受注販売を始める担当者様や、販売方法の多様化をご検討中の担当者様はぜひお読みください。

 

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受注販売とはなにか?「受注生産」との違い

受注販売とはなにか?「受注生産」との違い

 

受注販売とは、店頭やEC、システムから顧客の注文を受けてから商品を調達、販売を行う販売方法です。

 

受注販売は基本的に在庫を持たないため、注文時点では商品は用意されておらず、注文が無ければ調達、販売は行われません。注文された数だけ商品を入荷し、販売します。

 

受注販売と受注生産の違い

受注販売と受注生産は「受注により商品を供給する」という点では似ていますが、販売者か生産者かの違いで使い分けられます。

 

  • 受注販売
    受注後に、製造済みの商品を調達して販売する
  • 受注生産
    受注後に、商品を生産して供給する

 

受注販売は受注生産のほかに、メーカーや卸売業者から商品を取り寄せて販売する方法も含みます。受注販売は受注生産よりも、幅広い商品の調達方法をカバーしています。

 

BTOパソコンなど顧客が内容をカスタマイズして注文する製品は、受注してから生産・販売するため「受注生産」「受注販売」どちらも正しい説明です。

もっとも注文後の生産がセールスポイントとなる商品は、顧客に「受注販売」ではなく「受注生産」と説明する場合もあります。

 

受注販売以外の販売方法とは?

受注販売に該当しない代表的な販売方法には、店頭に商品を並べて、来店客に購入してもらう方法があります。「店頭販売」「通常販売」「在庫販売」と呼ばれます。

スーパーマーケットやコンビニエンスストア、アパレルショップ、ホームセンターなど小売店で採用されている販売方法です。

 

店舗では顧客がその都度注文しなくても、店舗に訪れたタイミングで多種多様な商品が陳列されており、顧客は商品の質感や鮮度、デザインを直接確かめて、その場で購入できます。

 

受注販売の主な形態

受注販売は「取り寄せ」「予約販売」「受注生産での販売」と大きく3つに分かれます。

 

取り寄せ

顧客が注文した商品が下記のような理由で在庫が無く、メーカーや卸売業者から取り寄せて販売します。

 

  • 購入者や販売数が多く、品切れになってしまった
  • 需要が少ない商品で、客注を受けて販売する

 

商品によっては、受注から販売まで2週間~5週間程度を要するケースもあります。

 

予約販売

受注販売には、商品を予約した顧客に販売する「予約販売」も含まれます。

 

人気が見込まれる新商品は代表的で、発売日の前に注文を取り、発売日に供給します。販売者は発売直後にまとまった金額の売上を得られること、購入者は欲しい商品を確実に購入できるメリットがあります。

 

新しい技術やコンセプトでリリースする商品では、需要予測が読み切れない場合もあります。こうした商品ではクラウドファンディングでどの程度需要があるかリサーチしながら予約販売を行うこともあります。

 

受注生産での販売

受注生産での販売は、顧客から注文を受けてから商品を製造し、販売するケースが該当します。

 

受注生産はBTO(Build to Order:ビルド・トゥ・オーダー)とも呼ばれます。受注後に製造する強みを活かし、素材やデザインなどを顧客が決める「オーダーメイド」や「カスタムメイド」にも使われる販売方法です。

 

学園祭でクラスや部活動のTシャツを作った経験をお持ちの方も、いるかもしれません。オリジナルTシャツも受注生産で販売できる商品の一例です。

受注生産についてアパレルの受注生産をシステムで効率化、自動化するポイントでくわしく解説しています。

 

受注販売が業務や売上に貢献する6つのメリット

貴社が受注販売を行うことで、店舗やECの事業成長を後押しする6つのメリットを得られます。どのような効果をもたらすのか、順に確認していきましょう。

 

在庫を持たなくてよい

受注販売の商品は、売れる数を予測して仕入れる手間が不要です。

 

注文を受けた時点で仕入れを行い、在庫を持たずに販売できます。バックヤードなど商品の保管スペースを確保せずに済むため、在庫管理のコストや余剰在庫のリスクをおさえられます。

 

常に収益を確保できる価格で販売できる

常に一定した収益を確保できる価格で販売できることも、受注販売のメリットに挙げられます。

 

注文が無ければ仕入れる必要がなく、在庫を抱えることもありません。作り過ぎや仕入れ過ぎ、売れ残りによる見切り品が発生しないため、高い利益率の確保が見込めます。

 

顧客のさまざまな要望に対応できる

受注生産での販売なら、通常販売では対応が難しい顧客のさまざまな要望に応えられます。

 

注文を受けてから商品の製造を開始するため、顧客は色やサイズ、デザインなど多様な選択肢から商品を選ぶことができます。ECでの販売と相性が良いメリットです。

 

ニッチな需要に対応できる

「取り扱い商品に加えたいが、受注頻度は少なく大量には売れない」

注文を受けた時点で卸売業者やメーカーから調達し、顧客へ提供する受注販売なら、このような商品にも対応できます。

 

商品を自社の倉庫に保管している場合は、迅速な商品供給を実現できます。

 

販売数が予測しにくい商品を販売できる

新しい技術を導入した商品や、新しいコンセプトの商品は、需要が予測しにくく、事前にどの程度生産しておくべきかわからないケースが多くあります。

 

需要より生産数が少ないと顧客は商品を購入できず、欠品や遅延のクレームを受けやすく、作り過ぎると大量の在庫を抱えてしまいます。

 

受注販売を採用すればこうしたリスクやコストを回避して、顧客が予約した分を生産して確実に販売できます。販売予測が外れるリスクを軽減できる点もメリットの一つです。

 

ブランド価値を高められる

受注販売はブランドの価値向上にも寄与します。製造能力に合わせた商品供給が可能になるためです。

 

多くの顧客が支持する、または憧れるブランドなら、受注販売の商品は「待ってでも購入したい商品」として希少性や付加価値を高められます。

 

注文して待たないと手に入らない商品の存在は、ブランドの価値をさらに高めるだけでなく、顧客との関係性を強化することにもつながるでしょう。

 

顧客や自社に影響のある受注販売4つのデメリット

受注販売には、デメリットもあることに注意が必要です。

 

例えば冒頭でふれた、発注の業務が生じる点はその一つです。顧客や自社に影響がある、受注販売の主な4つのデメリットをチェックしたうえで、受注販売の適切な活用につなげましょう。

 

顧客が実物を見て購入する手段を使えない

注文を受けてから商品を調達する受注販売は、店舗に商品を置かない場合が多いです。

 

サンプルもすべての色やサイズを用意することは難しいでしょう。商品の色味やサイズ感、質感、使い心地など顧客が直接チェックできないことは代表的なデメリットになるでしょう。

 

特に、サイズ感や質感だけでなく、デザインとコーディネートも重視されるアパレルは、実物のチェックや試着が購入体験の満足度を高める要因にもなります。

 

「店頭で実物を確認できない」「自分に合うかどうか購入前にチェックできない」ことは、商品を購入するきっかけが減ることにつながる懸念があります。

 

「衝動買い」や「ついで買い」が起きにくい

受注販売は、期限までに顧客が購入するか詳細や口コミなどで検討する時間があり、一点ずつの販売であるなど「衝動買い」や「ついで買い」が起きにくい販売方法といえます。

 

数量限定やセット販売などの工夫も考えられますが、すべての商品が受注販売に向くわけではありません。

客単価や関連商品の売れ行きへの影響など、受注販売に適した商品か慎重に検討しましょう。(受注販売に向いている商品、向いていない商品については後述します)

 

商品の発送まで日数が長くなる

顧客の注文を受けた後に商品を調達・生産する受注販売は、どうしても「顧客に待ってもらう日数」が生じます。商品が発送されるまでの日数が長く設定されていると、注文をあきらめる顧客もいるでしょう。

 

下記のような、販売機会を逃さず、より多くの注文を確保できるよう工夫して、受注販売を計画しましょう。

 

  • 顧客に納期を明示する
  • 可能な限り早く商品を調達、製造できる体制を整える
  • 商品の生産や配送の状況を顧客に共有する

 

最小ロットを下回る数量を受注しにくい

調達可能な最小限の数である「最小ロット数」が、生産元から指定される商品もあります。こうした商品は、顧客から受注する下限の数も最小ロット数に合わせる方が賢明です。

 

一例として、BtoBの受注販売において、仕入れの最小ロット数が50着、顧客からの注文数が20着の場合を考えます。このような受注では、販売者は必然的に在庫を30着持つことになってしまいます。余剰在庫となった商品をどのように販売するか、悩む事態となりかねません。

 

受注販売に向いている商品と向いていない商品

この記事をお読みの方は、自社で扱う予定の商品は受注販売に向いているか、大きな関心をお持ちのことでしょう。

 

ここからは受注販売に向いている商品、おすすめできない商品を解説します。

 

受注販売に向いている商品

下記のいずれかに該当する商品は、受注販売を検討するとよいでしょう。

 

  • 通常販売での受注がほとんど見込めない商品
  • 特定の顧客、特定の用途にのみ需要がある商品(例:推し活用アパレル)
  • 需要がどの程度か、予測しにくい商品
  • 色やサイズ、デザインが豊富など、SKUの多さや「選ぶ楽しさ」を訴求する商品
  • 迅速、柔軟な生産や大量生産が難しい商品(例:熟練の職人が手作業で完成させる商品)

 

受注販売をおすすめできない商品

一方で、下記の商品は、受注販売より店頭販売が向いています。

  • 頻度高く、繰り返し購入する商品(例:調味料や洗剤など生活用品)
  • 大きさや鮮度が一定でない商品、より良い商品を店頭で選びたい商品(例:野菜、果物など)
  • 単価が低くバラ売りする商品、調達コストが多大になる商品(例:100円ショップ)
  • CMやキャンペーンを販促する商品
  • 顧客の評価や認知が高く、まとまった売上や完売が見込める商品

 

受注販売は商品の特性と販売戦略を考慮して計画しましょう

受注販売は有効な販売方法の一つですが、万能ではありません。

 

店頭で一定の売れ行きが期待できる商品を受注販売に変えると、販売機会を逃すだけでなく顧客が不満を持つ原因にもなります。

一方で、販売頻度が低い、需要が予測しにくい、「選べる楽しさ」を売りにする商品は、受注販売を活用することで自社だけでなく、顧客にとってもメリットのある購入体験を提供できるでしょう。

 

受注販売は、商品の特性や自社の販売戦略を考慮し、受注販売が向いている商品で実施するとよいでしょう。

 

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