より良い業務の遂行に、業務自動化を検討されている方も多いでしょう。
多くの業務において、自動化は有効です。
短期的にはまとまった予算を必要としても、中長期的には収益のアップと従業員の満足度、顧客の満足度を向上できるでしょう。
一方で効果をあげるためには、自動化する業務の見極めと適切な方法での導入が欠かせません。
この記事では業務自動化について、詳しく解説します。業務自動化とはなにか、必要とされる背景やメリットはなにか、また適切な進め方や押さえておきたいポイントをご確認ください。
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業務自動化とはなにか？
業務自動化とは機械やIT技術を活用して、人手を借りることなく業務を進める手法です。
業務に従事する従業員数や作業時間、手間をおさえつつ、効率アップや生産体制の強化、精度の向上などを実現できます。いまや企業にとって、業務自動化はなくてはならない手法です。加えて業務自動化は、DXの実現にも欠かせません。
業務自動化は定型的で繰り返しの多い業務で広く使われていますが、近年では判断も含め、業務全体を自動化するハイパーオートメーションも活用されています。
業務自動化はさまざまな業務で役立つ
業務自動化はさまざまな業務において、生産性の向上や企業の収益アップに貢献しています。代表的な業務自動化の例を、以下の表にまとめました。
| 業務自動化の例 | |
|---|---|
| 工場 | 製品の生産や出荷前のチェック |
| 倉庫 | ピッキング作業や在庫管理、出荷業務 |
| 物流 | 荷物の自動仕分け |
| 営業 | 見積書や請求書の作成 |
| バックオフィス | 給与計算や月次決算データの作成 |
| システム開発 | ソフトウェアのテスト |
上記のとおり業務自動化は現業部門だけでなく、間接部門でも幅広く役立つ手法です。
業務自動化はなぜ必要か？求められる4つの背景
業務自動化は、事業環境の変化や社会の要請により求められています。
主な背景を4つ取り上げ、なぜ業務自動化が求められるのかを確認していきましょう。
①人手不足と生産年齢人口の継続的な減少への対応
日本の社会は、慢性的な人手不足となっています。
社会を主に支える15歳～64歳の人口、いわゆる生産年齢人口が減り続けていることは主な原因の一つです。以下の表をご覧ください。
| 15歳～64歳の人口 | |
|---|---|
| 2000年 | 8,622万人 |
| 2010年 | 8,103万人 |
| 2020年 | 7,509万人 |
出典：内閣府「令和6年版高齢社会白書（全体版） 1 高齢化の現状と将来像」
今後は求人を行っても、思うように応募者が集まらないケースが増えるでしょう。
より少ない人員で業務を遂行できる体制を整えなければなりません。人手を減っても業務を行える「業務自動化」は、人手不足に対応する有効な方法の一つです。
②経費の削減と競争力の強化
企業は競争力を高め他社よりも優位に立つため、常により低いコストでより良い製品やサービスの提供を行うことが求められています。
官公庁なども税金を有効活用するため、経費の節減が求められるでしょう。
人件費は経費のなかでも大きなウエイトを占めており、削減のターゲットとなりやすくなっています。
業務に携わる人員や工数を減らせるため業務自動化は、人件費の削減につながります。
24時間365日の稼働もしやすくなり、生産量も増やせるでしょう。
浮いた人員を製品や顧客対応の品質向上へのリソースにあてれば、より良い製品やサービスも提供でき、顧客数の増加が期待できます。企業の競争力強化にもつながるでしょう。
③業務のスピードアップと安定した品質の両立
業務のスピードアップも、企業に求められていることの一つです。
生産のスピードが上がれば、同じ時間でより多くの製品を提供でき、収益を上げられます。
加えてデータの処理や分析を短時間で完了できれば、現状を迅速に把握できます。状況の変化に対して適切な判断や対応をすばやく行えるため、収益やシェアの確保につながるでしょう。
業務自動化に使う機械やシステムは、間違いを起こしにくいことも特徴です。手作業よりもスピーディーに、安定した品質で業務を遂行できる点も魅力的です。
④働き方改革への対応と、従業員満足度の向上
法令遵守と人材の確保という観点から、働き方改革への対応も求められています。
従業員が転職で他社に移らないためには働きやすい職場を実現して、従業員の満足度を向上させなければなりません。
従業員の負担を軽減するためにも、機械やIT技術で行える作業は積極的に自動化する取り組みが求められています。
業務自動化では多種多様なツールやITサービスが使われる
業務自動化では、多種多様なツールやITサービスが使われています。代表的なものを、以下の表でご確認ください。
| ツールやITサービス | 概要 |
|---|---|
| RPA | マウスやキーボードの操作など、人間の操作を模倣して処理できるソフトウェアツール。 定型的な作業で使われる |
| マクロ | Microsoft Office製品に搭載されており、操作を自動化する目的で使われる。 データの集計やグラフの作成で活用できる |
| ハイパーオートメーション | さまざまなシステムを組み合わせて、ビジネスプロセス全体を自動化する。 人間が判断する工程も組み込める |
| AI | 「人工知能」の略で、人間の思考を模倣したシステム。 データ処理や文章・音声・画像の認識、適切な応答など、広範囲に活用できる |
| OCR | 紙に記載された数字や文字を読み取り、データに変換する |
| システムの連携ツール | 異なるシステム間でデータを連携する |
上記のなかから適切な技術を選び、業務自動化を実現できます。
貴社ならではのシステムやツールを作る3つの方法
業務自動化において、必ずしも既製品のサービスを使う必要はありません。
ノーコードツールやローコードツールを活用して業務自動化に役立つツールやシステムを作る方法もあります。また、Excelのマクロを活用する方法も有効です。
業務にフィットするシステムが市場に無いなら、自力で作れば良いというわけです。
もちろんシステム会社に依頼して、オーダーメイドのシステムを開発することも一つの選択肢です。システムに求める要件と予算、本稼働までの期間をふまえて、活用するシステムやツールを選定してください。
業務自動化で期待できる5つのメリット
業務自動化が貴社にもたらすさまざまなメリットの内、主な5つを取り上げ、具体的にどのようなメリットが得られるか解説します。
①経費を削減でき、より働きやすい環境を提供できる
業務自動化は人件費を削減できます。
業務に従事する時間を減らせることに加えて、業務に従事する人員も減らせることは、主な効果に挙げられます。
残業時間を減らすことができれば、オフィスの照明や空調などに使う光熱費も減らせるでしょう。経費の削減は業務自動化の大きな目的であると同時に、期待できる主なメリットにも挙げられます。
残業の削減は、働きやすい環境の提供にもつながります。
残業が多く身体を壊す従業員も少なくなるでしょう。働きやすい企業は離職率の低下に加えて、応募者の増加も期待できます。優秀な従業員の採用もしやすくなるでしょう。
②作業や業務処理のスピードを上げられる
定型的な処理の多くは、機械やシステムが得意とする業務です。
業務自動化はこの利点を活かすことで、作業や業務処理のスピードを上げられる方法です。以下のような多彩なメリットを得られます。
- 迅速な対応を実現でき、顧客満足度の向上につながる
- 現状をより速く把握でき、適切な施策を早期に打てる
- 業務処理のスケジュールに余裕が生まれる
③品質を向上でき、競争力を強化できる
業務自動化は、品質の向上と競争力の強化にも貢献します。
例えば、おにぎりを自動で握る「おむすびロボット」を考えてみましょう。
- 均質なサイズ・重量の製品を提供できる
- 細菌がつきにくく、衛生的な環境で製造できる
など、品質向上につながる業務自動化のメリットを得られます。
業務自動化は、ヒューマンエラーを防ぐ対策としても有効です。
機械やシステムは全くミスを起こさないわけではありませんが、人間よりも正確に業務を遂行できるでしょう。より高いレベルでの正確さと安全を提供することで、製品の競争力を強化できます。
④人手不足の影響を緩和できる
業務自動化の効果に、業務の遂行に必要な従業員数の削減を挙げる企業も多いでしょう。
少ない従業員数で業務に対応できることは、業務自動化の代表的なメリットです。人件費を削減できるだけでなく、人手不足の影響を緩和できるメリットも見逃せません。
とりわけ以下の時間帯や時期は、従業員を確保しにくいものです。お悩みのご担当者様も、多いのではないでしょうか？
- 深夜や早朝
- 休日
- 年末年始
- 旧盆
- 大型連休（ゴールデンウイークなど）
業務自動化が進んだ職場では、少数の従業員を確保できれば業務を遂行できます。
従業員を確保しにくい時間帯や時期でも、人手不足の影響を緩和できることにメリットを感じる方も多いでしょう。
⑤顧客満足度の向上が期待できる
業務のなかには、人による対応が重視される業務もあります。
業務自動化により生み出されたリソースをそのような業務に割り当てることで、人員を増やすことなく適材適所の人事を実現できるでしょう。
問い合わせにかかる時間の短縮や応対業務の品質向上など、顧客満足度のアップも期待できます。
業務自動化のデメリット
業務自動化はメリットが多く業績の改善につながりやすい施策ですが、次のあげるようなデメリットもあります。
- 導入に際して、まとまった初期費用がかかる場合がある
- 機器やシステム、ITサービスの利活用に一定のランニングコストを要する
- 臨機応変な対応が難しい場合がある
- 業務量の減少や配置転換の対象となる従業員から抵抗を受けるおそれがある
業務自動化を成功させるためには、上記に挙げた項目について解決策を検討し、有効な対策を取る必要があります。業務自動化の対象となる部署や従業員への丁寧な説明と適切な処遇も求められるでしょう。
業務自動化の成功につながる6つのポイント
業務自動化は、思い付きで行っても成功しません。
効果をあげるためには、6つのポイントを押さえて進めることが重要です。それぞれのポイントがなぜ重要か、詳しく確認していきましょう。
①業務の実態や課題を正確に把握する
業務自動化を成功させる第一歩は、業務の実態と課題を正確に把握することです。
現場の従業員から直接ヒアリングするなど幅広く情報を収集し、正確な状況を把握しましょう。この機会に、業務を「見える化」する取り組みもおすすめです。
②業務自動化の目標やゴールを定める
業務自動化は、より良い事業運営のために行われる施策です。
成否を評価するためにも、目標やゴールを明確に定めておきましょう。
誰が見ても同じように理解でき、わかりやすい言葉で目標やゴールを表現することが重要です。可能であれば数値や金額、割合など、定量的に測定できる項目もふくめて設定するとよいでしょう。
③費用対効果を得られる業務を自動化する
自動化により得られる効果は、業務により異なります。
なかには、自動化しないほうが良い業務もあるでしょう。一方で、企業が投下できる資金には限りがあります。
このため「とにかくどの業務も自動化を」というように、なりふり構わず進めることはおすすめできません。自動化による費用対効果を考慮して、効果の高い業務から優先的に進めると良いでしょう。
④業務自動化をきっかけに、業務内容や進め方を見直す
業務自動化は、現行の業務プロセスどおりに進めるべきとは限りません。むしろ業務自動化は、業務の進め方を見直すチャンスです。
現行業務をゼロベースで見直し、不要な業務はカットしましょう。
もちろん、業務品質を上げる工程があれば追加する必要があります。
業務プロセスそのものを効率化することで、業務自動化との相乗効果が期待できます。コストを抑えながら、より高い効果をあげることができるでしょう。
⑤最適なツールやシステムを選ぶ
業務自動化の実現にあたり、複数のツールやサービスを選べるケースも多いでしょう。一方で選んだツールやサービスにより、得られる結果が変わることに留意しなければなりません。
「出入り業者が勧めるサービスだから」「安いから」という理由だけで、十分な検討もせずに導入することはお勧めできません。ツールやシステムに関する情報を広く収集したうえで、仕様や性能、特徴を比較検討し、貴社に最適なツールやシステムを選んでください。
⑥業務ごとに専門性の高い人材を確保する
どれだけ業務の自動化が進んでも、業務に精通した専門性の高い人材は必要です。
システムやツールは、動作に用いるロジックが正しいかどうかを自らチェックできない場合があるためです。
多くの業務が自動化されても、作業内容や作業手順が正しいかという判断は業務のプロにしか行えません。
可能であれば、業務ごとに専門性の高い人材を確保しておくとよいでしょう。予算や人員の制約がある場合は、業務に精通した専門家に相談できる体制を整えておくことをおすすめします。
業務自動化の代表的な進め方
業務自動化の代表的な進め方をまとめました。
- 業務自動化のニーズや可能性、費用対効果などを調査する。必要に応じて業務の棚卸や、業務の見える化を行う
- 業務自動化を行う業務や、自動化の範囲を決定する
- ツールやシステムなど、業務自動化を実現する方法を選定する
- 上長や役員の決裁を得る
- 業務自動化の推進チームを作り、実施する手順を決める。必要に応じて、現業部門に対する説明を行う
- テストを実施し、問題点に対する対策を施す
- 業務自動化を行う
- 実施した結果を評価する。必要に応じて改善を行う
上記の進め方は、あくまでも一例です。
企業や組織固有の事情も考慮のうえ、貴社に合った進め方をご検討ください。
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詳しくはYoomとは？料金や使い方、活用事例を解説【業務自動化に役立てよう】をご参照ください。
業務自動化は目的を明確にして、適切な方法で進めよう
業務自動化は、あくまでも業務や従業員・顧客の満足度を改善する手段です。
業務自動化を進める目的を明確にしたうえで、企業や現場の課題を解決し従業員の理解を得られる方法を選んで進めましょう。費用対効果の高いツールやITサービスを選ぶことも重要です。
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