業務効率や業務フローの改善を実施する中で「属人化」という言葉がよく使われます。
バックオフィスや顧客対応、社内のノウハウやナレッジの共有、データ管理など、幅広い業務で属人化が進むことで、さまざまなデメリットやリスクが生じてしまいます。
しかし、属人化はデメリットとばかりとも言いきれない面があるのも事実です。
属人的にならざるを得ない業務や、属人性に価値がある業務も存在するため「属人化の何が悪いのかよく分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、そんな属人化のデメリットやリスク、メリットになり得る業務をおさえながら属人化問題を解消すべき理由を具体的に解説します。
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属人化とは?
「○○さんがいないと進められない」
「○○さん以外は誰もできない、わからない」
属人化(ぞくじんか)とは、特定の業務が特定の担当者のスキルや経験、裁量に過度に依存してしまう状態をいいます。
例えば、業務が属人化していることで生じるトラブルに「特定の担当者以外は正確な在庫量を把握できない」などがあります。
これは、在庫状況が分からなかったため「積極的な提案を控える」「受注機会を逃す」といった損失につながります。
ネガティブな意味で用いられることが多く、後述するように実際にデメリットの影響が大きいため、属人化の防止と脱却に取り組む企業が増えています。
「標準化」とは?属人化との違い
属人化の対義語であり解消方法の一つが「標準化」です。
業務のシステム化やマニュアル化を通して業務フローや情報、ノウハウなどを蓄積、共有、活用することで誰もが業務を同じ水準、品質で進行できるようにします。
属人化によるデメリット
属人化された業務を放置すると、企業にとって長期的なデメリットやリスクをもたらす可能性があります。
中でも、特に問題となるデメリットを3点あげてみましょう。
①業務がブラックボックス化する
「ブラックボックス」とは、黒い箱の中に入れられているように外部から状態が把握できない状態を指します。
属人化が進み、特定の業務がブラックボックスしていることを放置すると、以下のようなデメリットが常態化し生産性が低下していきます。
- 異動や退職時に引継ぎができない
- 新人や担当者が増えた際の教育が難しい
- 繁忙期に外部からのフォローできず、担当者が疲弊する
- 特定の担当者の業務量に限りがあり、業務フローのボトルネックになる
また、属人化による特定業務のブラックボックス化は、ミスの隠蔽や不正の原因にもなりえます。
こうしたトラブルは表面化しづらく、自社や顧客に多大な損害を与える問題が発生していても迅速に対応できず、損害が拡大するリスクが高まります。
「自身の地位や立場を守りたい」「他の担当者に業務を奪われる不安」といった心理が働き、自分にしかできない業務として技術や情報、データを独占する、隠したがることが属人化によるブラックボックスが固定し、長期化する要因といえます。
②品質、サービスが安定しない
属人化は担当者によって製品やサービスの質がバラバラになり安定しません。
事業の成長には、顧客からの信用がなにより大切です。
しかし、特定の担当者の休職や退職、異動などでこれまで通りの品質が維持できず信頼性が低下すると、顧客が他社へ乗りかえるきっかけを作ってしまいます。
顧客との良好な関係維持をはばむリスクをかかえる属人化は、自社と顧客のどちらにとってもメリットがないといえるでしょう。
③新しい顧客ニーズや技術への対応が遅れる
属人化は、最新の顧客ニーズや技術導入への対応が遅れてしまう可能性があります。
例えば、プロジェクトの責任者が自身の実績や成功体験を元に採用する技術を決定したため、市場のトレンドを読み誤り、顧客の求める要件を満たせず、競争力が低下するケースです。
トレンドの影響を受けやすく、市場環境の変化が速いファッションやエンタメでは、このような属人化のデメリットがあらわれやすいです。
こういったリスクを避けるには、若い担当者や現場の関係者へ権限を分散させ、多様な情報をもとに評価と判断ができる業務の進行方法を定着させることが属人化の解消につながります。
属人化にはメリットもある?
デメリットやリスクが問題となる属人化ですが「属人化にはメリットもある」という意見があります。
例えば、特定の大口顧客を長年担当してきた優秀な営業がいるケースです。顧客は「発注するときは彼(彼女)を通したい」と望んでいるでしょう。
確かに、顧客と良好な関係が成立しており、担当者の提案力や対応、顧客との相性が製品やサービスの付加価値を高め、事業にメリットを生んでいます。
高度な専門性や特別な資格だけでなく、担当者の個性や魅力、長年の経験で培われた勘とコツなど、教育や共有が難しいこともあります。
こうした状態は一概に「属人化」といわず、特別なスキルや経験、付加価値によって「その人にしかできない仕事」をするスペシャリストと呼ぶことができます。
特に難しいとはいえない仕事が知識やノウハウ、技術の共有不足によって「その人にしかできない仕事」になってしまっている属人化とは異なります。
属人化の本当のリスク「転職、退職」
属人化が進み、特定の業務を行う担当者が固定されると、労働環境が悪化しやすく、転職や退職の動機になりかねません。
例えば、次のような状況が考えられます。
- 担当者不在による影響が大きく、休暇がとりづらい
- 特定の担当者に業務が集中し、残業や休日出勤が増える
- ノウハウや情報を共有されない他の担当者の不満やストレスがたまる
また、上述したスペシャリストの存在を「属人化のメリット」ととらえてしまうのも危険です。
なぜなら、そこには「人材は流動的な資産」という視点が欠けているからです。
転職エージェントサービスやSNSを誰でも利用するようになり、以前に比べて転職のハードルが格段に下がりました。
終身雇用は過去のものとなり、大企業であっても転職や引き抜きが当たり前となりつつあります。
働く環境や価値観が大きく変化する中で「あの人でないとできない仕事」を放置し続けることは、どのようなかたちであれ望ましいとはいえません。
優秀な人材に業務が集中するのは当然ともいえますが、その状況に甘んじて待遇の改善はもとよりリスクヘッジをなおざりにすることは、業務の中心的存在、利益を生む担当者が転職してしまい、人材の流出と人手不足の原因となるでしょう。
個人の高い能力に頼っている業務は、部署全体でより良い製品やサービスを顧客に提供できるように、ノウハウを蓄積・共有するルールを設けて再現性を高めていくことが求められます。
脱属人化を進める対策とは?
ご紹介した属人化のデメリットや問題点に加え、労働人口の減少やDX推進の流れを受け、属人化を脱却し業務の標準化に取り組む企業が、業種や事業規模を問わず増えています。
クラウドツールで情報や業務を見える化する
クラウド販売管理ツールなどで、受発注から在庫、納品、請求と入金など業務のリアルタイムな状況を可視化します。
担当者が不在でも、他の担当者がいつでもどこからでも正確な最新情報を確認できます。
あいまいな業務内容、目標を言語化、マニュアル化する
「お客様に必要とされる営業になろう」といった抽象的な表現での目標を具体的に言語化します。
「どのような手順で、何をどうすれば、どのようにお客様から必要とされる営業担当者になれるのか」など実務レベルに落とし込んだ内容で業務フローをマニュアル化できれば、顧客対応や製品、サービスの品質の標準化できます。
(次回属人化解消の記事を作成、リンク設置予定)
まとめ
属人化が顧客の信用低下、人材流出の原因とならないためにも、社内のナレッジがチームや組織に共有される業務の仕組みづくりや、ITツールやクラウドサービスを活用した業務フローの自動化、標準化が今後ますます重要な施策となってくるでしょう。
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