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RPAは業務の自動化や効率化を実現するツールとして、広く使われています。
導入効果を紹介する事例も、成功例・失敗例、また業務別・業種別など、数多く公表されています。
一方で、
- 「事例の数が多過ぎて、どの事例を見ればよいかわからない」
- 「自社の課題に近い事例がなかなか見つからない」
- 「内容が浅く、どのような効果があったか理解しにくい」
といった悩みをお持ちの方も、いるかもしれません。
この記事では、RPAを活用した9つの事例を紹介します。
RPAの強みを理解できるとともに、さまざまな業務上の課題を解決できるツールであることをご理解いただけるでしょう。貴社の課題を解決するきっかけにしてください。
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主な機能 一覧 導入事例
INDEX
事例からわかる、RPAを活用するメリット
RPAを活用する代表的なメリットは、以下のとおりです。
- 業務の自動化により、従業員の負担が減る。余分な残業時間や人件費もカットできる
- 処理時間を短縮でき、対応時間の短縮など顧客サービスの向上につながる
- 忙しい業務への増員を、新たな採用をせずに実現できる
- 業務をより正確に実行できる
- 「うっかりミス」を防止できる
- 長時間の処理でもパフォーマンスが落ちず、処理の正確性も保てる
- リアルタイムに近い情報を入手でき、適切な顧客対応や提案を実現できる
いずれも、企業や団体の事業運営、業務の遂行に望ましいメリットです。RPAは、より良い事業運営とコスト削減を両立できる有効な手段です。
具体的には、どのようなメリットが得られたのでしょうか。ここからは「業務の自動化」と「業務の効率化」に分けて、RPAの活用により得られたメリットを事例ごとに紹介します。
関連記事:RPAとは?向き不向きや業務に活かす方法、AIとの違いをわかりやすく解説
業務の自動化にRPAを活用した5つの事例
業務の自動化はRPAの得意分野であり、さまざまな業種・業務で役立っています。ここでは5つの事例を取り上げ、RPAによる業務自動化のメリットを解説します。
ファイル転記作業の自動化(クレジットカード会社)
クレジットカード会社の楽天カードがRPAを活用した事例です。
日々の業務にはデータの加工や分析に関する業務など、手作業を要する業務が多数あります。ファイルの転記作業もその一つで、単純ながら回数が多くなると時間を要し、コストも増大する作業です。
楽天カードはファイルの転記作業を自動化する目的で、RPAを導入しました。この結果、作業時間や作業人数を4分の1に圧縮。75%の作業時間削減を実現しました。
参考:WinActor®導入事例【楽天カード株式会社】楽天カードがWinActorを導入。RPAで未来トレンドを手に入れた?
POSデータダウンロードの自動化(大手菓子メーカー)
カルビーはスナック菓子を主に製造する、大手菓子メーカーです。
営業部門では得意先のPOSデータをWebサイトからダウンロードする業務があります。
単純な作業ですが、販売状況を知るうえで重要なPOSデータは頻繁にダウンロードすることが理想です。
しかしチェックすべき得意先は60サイトを超えます。人手を要する作業であるため、ダウンロードは週1回にとどまっていました。
RPAの導入後は得意先のPOSデータのダウンロードを、毎日自動で行えます。リアルタイムに近いPOS動向を把握できるため、得意先に対して適切な提案を行えるようになりました。
参考:サン・プラニング・システムズ「導入事例 RPAツール(UiPath) カルビー株式会社様」
保育園の入園申し込み受付業務を自動化(市役所)
長野県塩尻市では保育ニーズの多様化により、保育園受付窓口業務の負荷が増大していました。繁忙期となる11月から2月は時間外勤務が増加し、職員の負担が大きくなっていることは見過ごせない課題でした。
同市ではRPAを活用し、保育園受付窓口業務のうち「入園申込書受付業務」の自動化に取り組みました。
ダウンロードした申請データは、RPAにより保育システムへ入力されます。また保育所の利用調整が必要な子どもの一覧も、RPAにより自動的に作成できるようになりました。
RPAの活用で得られた効果は次の通りです。
- 保育園受付窓口業務だけで、年間2,090時間の業務時間を削減(削減率67.6%)
- 受付から決定通知の発送までの期間を、3.5ヶ月から2.5ヶ月に短縮
- 保育無償化の対応など、他の業務にも職員数を増やさずに取り組める
抗血栓薬の再開忘れをRPAの活用により防止(病院)
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院では、手術を行っています。
抗血栓薬を服用中の患者は、手術前に一定期間服薬を中断する場合が多いです。一方で、手術後は適切なタイミングで忘れずに服薬を再開する必要があります。
RPAの導入前は服薬を再開する手順が明確でなく、服薬忘れによる重篤な事態を招くおそれがありました。
この課題を解決するため、同院ではRPAとデータウェアハウス(いわゆる「データの倉庫」)を活用し、抗血栓薬の再開忘れを防ぐ取り組みを行いました。
RPAはデータウェアハウスで抽出した一時中断している薬の情報を、電子診療録の付箋機能を使って定型文を自動貼付する工程で活用されています。これにより、一時中断薬の再開や終了の指示が無いなど、指示忘れの事態を防ぐことができました。
参考:Robotic Process AutomationとDatawarehouseを活用した観血的処置後の一時中断薬再開忘れ防止対策
データ移行作業の自動化(医院)
RPAはデータ移行作業など、一時的で負荷の高い作業の効率化にも活用できます。
深瀬医院(函館市)は新サーバーへのデータ移行を行う際、単純・定型的な作業をRPAに置き換えて実施しました。対象のデータは画像であり、合計で22,035件ありました。
1件当たりのデータ送信時間は、人手で行った場合とほぼ同じでした。しかしRPAは人間では避けられない「疲労による作業効率の低下」がなく、大量・長時間の作業も安定して行えることが強みです。
RPAは18時から翌朝7時まで稼働し、データ移行を2週間で完了しました。これにより、数百万円ものデータ移行費用を削減できました。
参考:医療現場でのRPAの有効活用(J-STAGE/道南医学会ジャーナル6巻 (2023) 1号)
業務の効率化にRPAを活用した4つの事例
RPAは業務の効率化を目的として導入するケースも多いでしょう。
すべての工程を自動化できない場合でも、RPAは業務効率化に役立ちます。ここからは4つの事例を見ていきましょう。
手作業で実施していた業務の効率化(税理士事務所)
所員9名を抱える笠原税理士事務所は、以下の課題を解決することを目的として、ITベンダーの勧めによりRPAを導入しました。
- 所員を単純作業から解放し、付加価値の高い作業にシフトさせたい
- クライアント先への訪問時間を、可能な限り確保したい
- 法令改正に対応するための時間を確保する必要がある
- 事務所を円滑に運営するため、組織や人材育成などに注力したい
RPAを導入した結果、手作業で実施していた作業の自動化と業務効率化を実現しました。
一例として、仕訳データの入力が挙げられます。RPAの導入前は毎月2,500件の仕訳入力に3日~4日を要しましたが、RPAの導入後は20分~30分で完了するまでにスピードアップしました。
笠原税理士事務所ではRPAによる全面的な自動化に踏み切らず、要所で人によるチェックを行っています。0円の仕訳や逆仕訳、マイナスの修正や削除は代表的な例です。
この取り組みにより、作業効率のアップと正確性の両立を実現しました。
参考:Robotic Process Automation(RPA)が税理士業務等に与える影響(J-STAGE/中小企業会計研究2024巻 (2024) 10号)
勤怠や給与システムへの入力を効率化(政令指定都市)
政令指定都市の名古屋市は、勤怠や給与等の処理システムにおいてRPAを活用しています。ひと月当たり2,000箇所の項目をRPAで自動的に入力しており、毎月数時間の時短効果を実現しました。
名古屋市は、RPAのシナリオ作成を職員で行っていることもポイントの一つです。これにより、給与部門だけで数十ものシナリオが作成されています。RPAは細かな確認作業など、多種多様な業務に活用されています。
参考:ICTを活用した業務効率化とその可能性 −給与事務へのRPA及びWeb APIの活用事例をもとに−(J-STAGE/令和4年度全国会議(水道研究発表会))
回復期リハビリテーション病棟における、病棟管理支援業務の効率化(病院)
医療法人秀友会札幌秀友会病院は、回復期リハビリテーション病棟を有する医療機関です。
2024年の診療報酬改定により、医療の機能評価と質管理の実践が重要となりました。効果的・効率的な病棟運営に向けたKPI(業績評価指標)の管理が必要ですが、KPIに関する情報収集の作業は自動化されておらず、入力や更新作業の効率化が課題でした。
この課題を解決するため、同院ではRPAを用いてKPIの入力や更新を自動化しました。
RPAの導入後は、約1時間の業務削減を実現。主に担当していた回復期リハビリテーション病棟専従療法士は、他の管理業務やスタッフ教育に時間を割くことが可能となりました。
参考:ソフトウェア型ロボットRPAによる回復期リハビリテーション病棟管理支援業務の効率化(J-STAGE/リハビリテーション医療DX研究2巻 (2024) 1号)
歴史公文書等の選別業務(県立公文書館)
鳥取県では、公文書を管理する「公文書館」を設置、運営しています。
県庁の書庫で一定期間保存された文書のうち、歴史公文書などを選んで公文書館に移すことは基本的な業務の一つです。県が歩んだ歴史を示し、当時の施策を後世に伝えるうえで重要な業務です。
鳥取県では歴史公文書等の選別業務のうち、現地で書類を確認するフェーズの前段階としてRPAを活用しています。県の政策法務課から保存期間が満了した書類のリストをExcelで受け取ったのち、RPAを用いて以下のチェックを行います。
- 文書の保存期間が本当に満了しているか、満了日判定ロボットを用いて選別する
- 歴史公文書等に明らかに該当しない文書を、複数の「除外キーワード」を用いて選別する
- 歴史公文書等に該当する可能性がある文書を、複数の「残すキーワード」を用いて選別する
1番に該当する書類について、2番と3番の情報も参考にしながら、現地で実物を確認すべき書類をピックアップします。あらかじめ1番の処理を行うことで、現地で確認すべき書類の数を減らすことが可能です。
Excelリストにある書類のうち、公文書館による選別の対象とならない「保存期間が未了の書類」について、RPAの導入以前は年間で150件~200件でした。
一方でRPA導入後には、年間で1,000件に達しました。
これらの書類を事前に選別業務から除外することで、「保存期間がまだ満了していない書類について、保存するかどうか検討する」といった無駄な作業を省略でき、業務効率化を実現しました。
参考:鳥取県立公文書館におけるRPAを活用した評価選別について(J-STAGE/記録と史料34巻 (2024))
RPAの事例を貴社の業務効率化、自動化につなげる4つのポイント
RPAの事例を貴社の業務効率化や自動化につなげるためには、4つのポイントを押さえることが重要です。それぞれの内容を確認し、より良い事業運営につなげてください。
①事例をうのみにせず、自社で活用できる項目を取捨選択する
「良い事例があるから、早速自社でも取り組んでみよう」という姿勢は望ましいですが、他社の成功事例を鵜呑みにし、やり方だけを模倣してもうまくいくとは限りません。
以下に示すとおり、他社と自社では事業環境が異なることが理由です。
- 事業を営む地域
- 顧客数やターゲットとなる顧客層
- 競合他社の状況
- 自社のIT化の状況や、従業員のITリテラシーのレベル
- RPAの導入に活用できる経営資源(ヒト・モノ・カネ)
- 経営層や従業員が持つ、業務改革や業務改善へのモチベーション
- 相談しやすいITベンダーやSI企業の有無
他社の事例を活用する際にはRPAの活用に至る目的や意図を分析し、理由を把握したうえで自社向けにアレンジすることが重要です。自社の置かれた状況に合わせて、活用する項目の取捨選択も求められるでしょう。
②複数の類似事例を収集し、比較検討する
RPAの事例を業務効率化や自動化に活かす際、特定の事例だけを根拠として進めることはおすすめできません。代表的な理由を、以下に示します。
- その企業にのみ適合する、特殊な条件があった
- 事例の企業とは社内の事情が異なり、自社では進められない(例:部門間の壁が厚い、など)
- 事例に記された機器やITサービスを使えない(例:製造元で終売となっている)
- 本来は不適切な方法であるが、たまたま問題が表面化せず成功したように見える
他社の事例を活用する際には1つの事例にこだわらず、類似する複数の事例を収集して比較検討しましょう。
多くの事例に共通する項目への取り組みを優先することで、成功に近づきます。RPAの導入成功につながる取り組みの内容、また成功の要因を抽出するとよいでしょう。
③自社の課題とあるべき姿をしっかり把握する
RPAは企業の課題を解決する有効なツールですが、あくまでも手段に過ぎません。課題を自動的に見つけて解決するツールではないことに注意が必要です。
自社の課題をよく把握しないままの状態では、せっかく評価の高いRPAを導入してもうまくいかないでしょう。
自社の課題や目標は、RPAの導入よりも前に決めておかなければなりません。課題のある業務領域を担当する従業員を巻き込んで、社内で十分に検討し決定しましょう。
これにより、自社に適合するRPAを選ぶことが可能となります。
④専門業者のアドバイスやコンサルティングを受ける
RPAの適切な選択は、難しいと思う場面もあるかもしれません。
「日々の業務で忙しく、RPAを検討する時間が無い」「ITに関する知識があまり無いので、適切にRPAを選べるか不安」と感じる方も、多いのではないでしょうか?
このような方は、専門業者への相談をおすすめします。
ITベンダーやSI企業によるアドバイスやコンサルティングを受けることで、RPAが自社で役立つか、自社に適するRPAはなにかを知ることが可能です。
自社の課題や目標を定めたうえで、専門家の意見を求めるとよいでしょう。
複数の事例を分析し、貴社に合ったRPAの活用方法を考えよう
ご紹介したRPAの活用事例から「自社の課題に類似する事例がある」「自社でもRPAを活用できそうだ」と思った方もいるでしょう。RPAの活用を成功につなげるためには複数の事例を分析したうえで、自社に合う活用方法を考えることが重要です。
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